与謝野晶子。新新訳源氏物語 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

橋本愛

 

先週末は猛暑日の中、図書館から『鉄幹晶子全集』全40冊の中の一冊、与謝野晶子『新新訳源氏物語(1938初出)勉誠出版』を借りだしてぐだぐだと読んでいた。

 

ちょうど『夕顔』まで読み進めたところ。一般の住宅の垣根に咲くユウガオを所望したところ、茎も花もなよなよと手渡しもできないと扇子にのせて贈られる。鄙にしては教養もありそう。美人だし。物怖じせず可愛いところもある。と、光源氏と夕顔はお互いの名前出自を隠して交際を始める。

 

結構ミステリアスな稿で、ふたりの恋の駆け引きが心理劇のように描写されていて、紫式部、すごいぞ! といったところ。光源氏は高貴なお方ですからね。庶民の住宅での交際は落ち着かないと、貴族の荒れはてた廃屋を無断使用するのですが、深夜のこと(廃屋に取りつていたらしい)物の怪によって夕顔はあっけなくとり殺されてしまう。

 

中村真一郎:王朝文学論(1971)新潮文庫

中村真一郎:王朝物語   (1993)新潮文庫

 

『夕顔』は、橋本治『窯変源氏物語』と読み比べてみたが、与謝野晶子による現代語訳は格調があっていい感じです。これを機会に『源氏』通読に挑戦(幾度目?)してみようかな。

 

図書館から借りている中村真一郎本は、安価な古書を入手して古典の手引きに。カバーは自作。イラストはドラマ『べらぼう』で衝撃的なメガネ女子(蔦重の妻)てい役を演じる橋本愛を。

 

被覆建築