植草甚一スクラップブック。したくないことはしない | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

植草甚一

 

通称〝J・J氏〟こと、植草甚一(1908 - 1979)は明治41年の生まれなのかと改めて驚く。映画、ジャズ、ミステリなどの評論家として(今日的な意味での)戦後サブカルチャーの先陣をきったひとりでした。J・J氏のコラージュを懐かしく思いだされるひとも多いのではないだろうか。

 

彼の著作は、エッセイ集成『植草甚一スクラップブック(1976~1980/復刻2004~2005)晶文社』全40巻としてまとめられ、10年ほど前までは古書店でよくみかけ集めていたが、数年前に欲しいという知人にさしあげた。のだが、この黄金週間に図書館のリサイクル棚に晒されていて。

 

植草甚一スクラップブック

 

内容はというと、50年代以降のモダンジャズや映画評などで、最近はあまり読まれることはないのだろう、図書館本にしては手擦れもなくきれい。つい惜しくなって持ち帰ってしまった。しかたなく図書館の管理シールを隠すために、氏の肖像を描いて蔵書票らしきものを自製した。

 

津野海太郎による評伝『したくないことはしない/植草甚一の青春(2009)新潮社』は読んだはずだが、何が書いてあったかは覚えていない。ただ、サブカルに埋もれて「したくないことはしない」人生というのもなかなか想像しずらい。したくないことも時にすることの安寧を(小人ゆえ)つい考えてしまう。

 

植草甚一スクラップ・ブック展(2015)世田谷文学館