アリス・紗良・オット。リスト ピアノ協奏曲 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

アリス・紗良・オット

 

地上波でアリス・紗良・オットの昨年末の来日コンサートから、リスト『ピアノ協奏曲第一番』の演奏が放送された。彼女の弾くリストは、テンポを揺らす情緒的とも思えるスタイルなのだが、粒立ちのよい硬質なタッチによって相殺される。また、フォルテの打鍵はソリッドで音列に強い意志が込められる。

 

2019年頃に多発性硬化症の難病と診断されて、以降演奏会からは離れていたが、こうしてツアーにも復帰されたのを心から喜びたい。彼女のアルバム『ナイトフォール(2018)』を聴いて以来のファン。特にラヴェルの『夜のガスパール』からの一曲『絞首台』の、こんなにゆっくり弾かれる演奏に驚嘆した。

 

 

とてもシャープネス(クリアな)タッチながら余情があり、あるいは好き嫌いはあるのかもしれないが、ちょっと聴いてもらいたいピアニストです。できれば生演奏を聴いてみたいひとり。