エリー・グリフィス。見知らぬ人 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

冨安健洋

 

エリー・グリフィスの初邦訳作品『見知らぬ人(2018)創元推理文庫』。英サセックス警察犯罪捜査課部長刑事ハービンダー・カーを主人公にしたシリーズ初編。伝説的作家ホランドの旧宅を遺すタルガース高校をめぐる連続殺人を描くスリラーで、残念ながら最後の最後まで犯人の目処がつかず、完敗。

 

事件の中心にいる高校教師のクレアと娘のジョージア15歳、そして捜査を指揮する女刑事カーが交互に視点を変えて描写される。事件が多視化されることでさまざまな要素が付加され、謎はより深い霧に塗り込められていく。2018年度エドガー賞最優秀長編小説賞受賞作品。

 

エリー・グリフィス:見知らぬ人(2018)創元推理文庫

 

事件を追うだけでなく、謎に包まれた作家ホランドの作品を作中作として落とし込み重層的に仕上げている。語り口が細やかで英国伝統ミステリの系譜を踏襲する。そろそろ第3巻の『Bleeding Heart Yard (2022)』翻訳本が出版されてもいい頃合いなので楽しみに待ちたい。

 

 われわれ人間は夢と同じもので織りあげられている(p.483)

 

イラストはドイツ代表との親善マッチで完勝したサッカー日本代表CB冨永健洋を描く。冨永はペナルティエリア内に侵入してきたレロイ・サネをショルダーチャージではじき飛ばすなど、久しぶりの活躍をうれしく思いますね。次戦(本日夜放送の)トルコ戦は出場しないのかな?