秋元才加。雲霧仁左衛門の今昔 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

秋元才加

 

NHK地上波で『雲霧仁左衛門5』が再放送されていて。原作は池波正太郎ですが、放送中の台本はオリジナル(最近の時代劇は時代考証もそこそこに)劇画仕様になっている。池波正太郎の原作は男が男に惚れる「漢振り・男伊達」といった世界観のノワールなのだが。今は流行らないけど。

 

その池波の原作にそった五社英雄監督、仲代達矢主演による映画『雲霧仁左衛門(1978)』で七化けのお千代を演じた岩下志麻などはまったき悪女でいっそ気持ちがいいほどなのだが、現行の内山理名では、密かに(でもないか)雲霧を慕い心を寄せる風情は可憐ですらある。そういう時代なのだろう。

 

映画 雲霧仁左衛門(1978)の仲代達矢・岩下志麻

 

ところで、江戸城大奥の隠し金を狙うという設定の『雲霧仁左衛門5』における、大奥を取りしきる御年寄・滝川(ともさかりえ)の納まりがすばらしい。特に歩くときの裾さばきが絶妙で良き時代の時代劇の残り香を感じる。もうひとり、その滝川お付きの紗江を演じる秋元才加がなかなか堂にいっている。

 

元AKB48のアイドル出身と聞いてびっくりだけど、時代劇に納まっている。時々みせる目上の人に対する腰の下げ方や膝の曲げ具合など、日舞でもやっているのかな。坂東玉三郎のこういった所作は絶妙だけどね。時代劇は型が命だから。もうしわけないけど、旧世代の時代劇へのこだわりは強い。