ブラックサマーの殺人。大変なことになった、ポー | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

重大犯罪分析官のティリーとワシントン・ポー

 

英国家犯罪対策庁・重大犯罪分析課の部長刑事ワシントン・ポーを主人公にしたシリーズ第2巻『ブラックサマーの殺人』は、かつて遺体無き殺人事件でポーが検挙起訴し、現在服役中の犯人が殺害したと思われた被害者が、なんと生きたまま6年ぶりに発見保護される。犯人は即時保釈の手続きが取られるが、ポーは納得がいかない。

 

「〝大変なことになったポー〟その科白がすっかりおれの人生のBGMになった…(P307)」何度も何度もその言葉を聞かされ、携帯電話の着信音に設定してやろうかという気になった(P472)ポーだったが、I.Q200近い持ち主ながら世間知が全く欠如しているティリー・ブラッドショーを相棒に死者が生き返った謎に挑む。

 

M.W.クレイヴン:ブラックサマーの殺人(2019)早川書房 

ストーンサークルの殺人(2018)早川書房 

 

主人公ポーの飼っているスプリンガー・スパニエル犬の名前がエドガー、そのポーのファーストネームが「ワシントン」そこにポー自身の秘密の鍵があって、仕込みが細いところが嬉しい。ポーとバディを組む分析情報処理の天才ティリー・ブラッドショーが全くの世間知らずで、この凸凹コンビが笑いだけでなく描けていて本作の精彩を高めている。

 

さて、ティリーは30代前半ながら世間擦れしないところは少女のごとく、警官でありながらカーゴバンツにスエットといったラフなスタイル、化粧っ気なし、ハリー・ポッターのようなメガネをかける。ただ、第1巻のドレスアップするシーンでは、メガネを外しスパーダーマン柄のドレス(という独特の魅力)で衆目の視線を集めている。

 

新潟県立美術館 屋外広場

 

そのテリーをイメージしたのが上掲イラストで、ちょっと頑固で変わり者のポーには誰に演じてもらおうかと色々考えたが、英国の若手俳優に対する知識がないところからギブアップ。ここは思い切ってどんな役でも演じきってしまう山田孝之にお願いした。山田だったら英国人にもなれるだろう。