田中比左良。女軍突撃隊 .01 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

 

中野実:女軍突撃隊(1935)田中比左良 挿絵

 

中野実「女軍突撃隊」は小説というよりも絵物語で、挿絵を担当した田中比左良の筆力に負うところが大きい。雑誌「主婦之友」(1935年1月号~12月号)に連載され、田中比左良の代表作になりました。本人も手応えを得ていたもようで、同年出版された『名作挿画全集』掲載作品に選んでいます。

 


『女軍突撃隊』の内容自体は他愛もなく「女性たちの世間が狭いのをいいことに悪い男たちの餌食になるのは許せない」と、義憤を感じた若き三岐子さんは女探偵となって男どもの欺瞞を暴いていきます。ということで、金持ちボンボンや好き者の親父どもの身辺調査を面白おかしく書いています。

 

 

 

『女軍突撃隊』全12話の切抜き合本より

 

20歳くらいのお嬢さん探偵が活躍するという内容で、ラストでは三岐子さん自身も恋に落ちゃう。中野実のラノベ作品に加え、田中比左良の挿絵が能弁に当時の人気(じんき:時代の雰囲気)を濃厚に伝えている。最終話には続編の予告も入っているのだが、理由は分からないが書かれることはなかった。

 

田中比左良の挿絵を模写