女には向かない職業。Vivian Maier | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

 Vivian Maier の作品より

 

女性カメラマン Vivian Maier は知人ブログで初めって知った。ウエストレベル6×6版カメラにブローニー・フィルムを装填、都会の雑踏のなかに自身のポートレイトを写し込む(ささやかな存在を主張するその)スタイルは現在でも清新で、近年発掘された彼女の作品は多くの人々の共感を持って迎えられた。

 

Vivian Maier Developed

 

私と交流がある商業カメラマンは1980年代まで、観光パンフレット用の撮影のために、20キロほどのカメラ機材に加え食料など登山道具一式を背負って穂高や槍ヶ岳などを踏破していた。デジタルカメラが登場しプロ機材として認められる以前のカメラ機材は重く、仕事のの多くは体力頼みで〝女には向かない職業(P.D.ジェイムズ)〟だった。

 

日本の女性写真師といえば、明治初期に夫亡き後家業を継いだ島隆(しま・りゅう)ということになっているが、当地新潟県柏崎市でも明治時代に家業を継いだ女性写真師がいたことが、石黒敬七によって紹介されている(ただ彼の記事にはやや間違いが)。そして、明治も後半にはグラフ誌などの編集に

 

携わっていた国木田独歩は近時画報社時代に写真部を設け、女性を写真師として採用していたらしい(黒岩比佐子「忘れえぬ声を聴く」幻戯書房)。国木田独歩が立ち上げ(現在も発行を続ける)『婦人画報』の誌面充実のため女性の感性に期待したものと思われる。独歩の先見の明と発想に驚かされる。