鹿島孝二「むすこ大学」の田中比左良 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

 NOKKO:キリン

 

ユーモア小説の作家・鹿島孝二が、雑誌「平凡」に連載した「むすこ大学(1955)全5回」の切抜きスクラップを手に入れた。京大(大学院中退)出身ながら就職難の折、とりあえず生活のために小さな食堂で住み込みで働くことにした主人公のまわりに、なぜかタイプの違う美女が集まってきて。

 

またスクラップには、佐田啓二主演の映画「花嫁はどこにいる」をノベライズした作品も、やはり佐田啓二のまわりになぜか異なったタイプの美女が群がって、恋の振り子があちこち揺れるといった内容で「むすこ大学」と同工異曲、当時の(男性にとっての)時代が求めた〝幸福の形〟のひとつだったのだろう。

 

 

鹿島孝二:むすこ大学(1955)全5回 雑誌 平凡

 

挿絵を描いた田中比左良のファンなのでつい買ったが。田中の最盛期は昭和10年前後で、彼のようなユーモア系の挿絵画家は戦時中の需要がなかったこともあって不運といえる。戦後もしばらくこうしたライトノベルなどで活躍するが、昭和30年半ばあたりから徐々に退場していくことになる。