永井荷風と博文館の確執 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

 永井荷風

 

永井荷風は身近にいられると困るが、遠巻きに眺める分には興味深く、また羨ましく思えるところもあって今だに(中高年には男性)ファンが多いようだ。ところで以前紹介した趣味冊子「本の虫」創刊号に長尾桃郎が、明治末に発禁になった「ふらんす物語」を巡る荷風と発売元博文館との10年戦争に触れている。

 

もともと(われらが長岡市出身の大橋佐平が興した出版社大手)博文館は体制寄りで発禁がほとんどなく(井出孫六「アトラス伝説」に詳しい)荷風「ふらんす物語」の出荷前の発禁処分はこたえたようで、荷風に損害賠償を求め両者の間はもめにもめた。この辺りは「断腸亭日乗」にも書かれているように泥沼化する。

 

結局、改訂版「新編ふらんす物語」の印税のほとんどを博文館に支払って示談したが、博文館に対する荷風の呪詛は深いものがあった。出版の労をとった編集人・巌谷小波はそれゆえ博文館を追われたとも言われており、博文館の大人げない対応の理由が気にかかる。荷風の出版社嫌いはもちろんここに発する。

 

自前写真イヤーブック

 

ブログ掲載の写真や一部イラストなどを年間でまとめたイヤーブックも3冊になった。文庫サイズ総144ページで200〜300点ほどの画像を載せている。写真は時系列というより、テーマや色味・雰囲気で自在に構成した。印刷製本は1冊から可能で単価は1000円ほど、ネット印刷の成熟度はいや増すばかり。

 

     セセリチョウ     ニゲラ(クロタネソウ)

 

最近あまりに暑過ぎるのか蝶も見かけませんね。