楷書な書痴たち | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

 sketchbook.022 斎藤昌三

 

 書物展望(1932)書物展望社

 

斎藤昌三、岩本和三郎、柳田泉庄司浅水ら、いわゆる〝書痴〟といわれる人たちが編集し昭和7年に発刊された「第2巻・上」これは書物展望社による合本で巻末に総目録がついている。出版本の紹介と批評を載せた「本のための本」というところで、装幀から挿絵にいたる評価傾向も紹介している。

 

なんというか、かなり衒学的ともいえる内容で編集者の〝力こぶ〟が感じられる。戦前の出版はとりあえず商売を抜きに「世に問うべき出版(造本)」というコンセンサスがあった。読書が娯楽に分類される以前の風景に(ときおり)背筋が伸びる。まことに楷書な冊子合本です。