マラソンの川内優輝 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

 マラソンの川内優輝

 

文字通り泥臭い走りで入賞まであと一歩というところまで詰めたマラソンの川内優輝は旧時代の〝根性〟が似合うランナーです。体格に恵まれずスピードもないとなれば、ひたすらタフに攻めなければならないというのはなかなか大変です。エールを込めて一枚描きます。サニブラウンはハムストリングスを痛めたようで、リレー出場は微妙なようですね。

 

 碧瑠璃園:渡邊華山(1918)大鐙閣

 

碧瑠璃園(渡邊霞亭)の歴史小説「渡邊華山(1908)」。私の手元にあるのは大鐙閣が出版した「碧瑠璃園傑作叢書第2編」。他に二宮尊徳、吉田松陰、乃木大将、大石内蔵助、銭屋五兵衛、荒木又右衛門、乳人政岡といったラインナップ。

 

渡邊霞亭名義で家庭小説、碧瑠璃園名義で歴史小説を書き、他にいくつものペンネームを使い分けた多作家にして、明治後半から亡くなる昭和初期まで人気作家として読者の絶大の支持を受けた。基本的には講談を書き下したような折衷小説なのだが、当時の読者にはこうした塩梅が読みやすかったのだろう。

 

華山は小藩の上士の出身ながら極貧の少年時代を過ごし、兄弟は口減らしのために奉公に出される中で、漢学者として身を立てようとするも、家計を助けるべく絵師に転進する。性格描写は書き割り、お涙頂戴の人情展開にして儒教的教育的内容ながら、前述のごとく講談小説から近代歴史小説への過程がよく判る。