サニブラウン・ハキーム | mizusumashi-tei みずすまし亭通信

 200m準決勝のサニブラウン

 

世界陸上ロンドン大会での日本人の活躍を伝えるニュースは結局サニブラウンひとりということになりそう。100m準決勝のスタートミスは残念だったが、200m準決勝の後半の伸びは見事、18歳にして決勝を体験できるのだからね。素晴らしい。100m×4リレーも出場するのかな?


 P.D.ジェイムス:ある殺意(1963)早川ポケミス

 

前作の翌年に発表されたアダム・ダルグリッシュ第2巻「ある殺意(A Mind to Murder)ではすでに前事件から3年が経ち、自身は警視に昇進しており、冒頭出版した詩集の3版を祝っての記念パーティの最中に、前作品(殺人事件)で登場したデボラと再会「食事に誘おうか」などと思いまどっているうちに事件発生の連絡が入る。

 

本作品で初めて(おそらく)ダルグリッシュが警視にして詩人という異色の設定が明らかにされる。舞台は精神病院、いまだ電気ショック療法やLSD療法などが行われている時代。病院の事務局長が殺害され、経緯から犯人は病院内の関係者に限られる。前作同様、ダルグリッシュによる事情聴取が行われ

 

 
容疑者の性格や背景が丹念に描写される。今まで犯人逮捕に失敗したことがないというダルグリッシュだが、今回はなんとなく確信が得られないまま、ラストの悲劇を阻止すべくクライマックスに突き進む。
 
上掲の写真はペンギンブックスに収録された際のものである。ペンギン・ブックスは、アレン・レーンによって1935年にロンドンを本社に創業された出版社で、鉄道の延伸によって旅行熱が高まると、キヨスクなどで売られるペーパーバックスが大量に消費されるようになる。
 
先述のアガサ・クリスティも最初は有閑のマダム向けにミステリ書いていたため初期出版物の発行部数がすこぶる少なかったが、ペンギンブックスに収録されることによって爆発的に発行され世界中に知名度を上げた。英ディケンズを起源とするミステリというジャンルもまたペンギンブックスとともに世界中に伝播する。