地方雑誌の科學少國民 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
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 科学少国民:発明協会新潟県支部発行

古本屋さんに行くたびに気になっていた発明協会新潟県支部発行の「科学少国民」は(おそらく)昭和21年9月発行の地方出版の児童雑誌です。第4号(s21.12)の表紙下部には「〝帝国〟発明協会新潟県支部発行」の刷り込みがあり、しかも雑誌名が「少国民」ですからね。とても戦後のデモクラシーを反映してるとは思えないが、戦後の混乱期にこうした児童雑誌が地方出版されていたことに、少なからず驚かされた。

戦後の占領時代の1945年10月~1959年10月まではGHQによって出版物の検閲が行われていた。当時GHQ参謀本部二部に所属していた歴史学者・ブランゲ博士は、この時期の出版物の資料的価値を見いだし、これを譲り受けて米国メリーランド大学に寄贈収蔵した。戦後の混乱期のことこうした出版物の多くは散逸し、特に地方の出版物にいたっては現在眼にすることも難しい状態になっただけに、この貴重な「ブランゲ文庫」は現在マイクロフィルム化され国会図書館に収蔵されている。

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 科学少国民:第5号と20号(2の8)

国会図書館「ブランゲ文庫」のマイクロ資料は第1~29号まで、原本は3冊ほど。新潟市の図書館には創刊号を含む12冊ほどしか保存されてなく、ほとんど忘却資料となっている。最近になって一部研究者が「戦後の地方出版」を研究対象に調査を始めたようだが、いずれの地方もそうした出版物があったことさえ知らないようで、遅々として進まないのが現状である。この(われらが新潟県が発行した)「科学少国民」はその後も長く発行され

新潟県立図書館に第76(1954.01)~115(1957.02?)号が収蔵されているが、発行者はすでに新潟県立科学技術博物館(編集)となっている。終巻については不明です。私の手元にあるのは1946年12月~1949年02月、初期の12冊で新潟市の収蔵とあまりかぶっていないのが幸いといえる。執筆者の多くは地元の先生を中心に、各学校の生徒を選抜して紙面を組立てている。内容は自然科学から物理、技術系と多岐に渡っている。

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 新潟県発明会館科学研究班結成式記念撮影(1946.12)

第4号裏表紙に結成式メンバーの写真が載っている。なお「ブランゲ文庫」は8,000冊ほどで、地方出版の児童雑誌は121タイトルにも及び、中央を含めた総数の三分の一ほどを占める。児童文学史では、この出版ラッシュから「雑誌期」と呼んでいる。ちょっと今のところこの手の研究本が見つからず、概略はネットにアップされている谷瑛子さんの「占領期・地方出版の児童雑誌(1945~-1949)」を参考にさせていただいた。科学に疎い私が買ってどーするみたいな雑誌ながら、つい持ち帰ってしまったのでした。

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 昼休み散歩にて

もうすっかりGW気分です。