噂の眞相(1980.04-06,08)
1980年代に入ると表紙は杉浦康平のデザイン、表紙イラストは(なんと)峰岸達、渡辺富士雄、下田一貴らが分担担当している。そして写真下段左側・6月号に問題の「天皇Xディに復刻が取沙汰される皇室ポルノの歴史的評価(レポーター:板坂剛)」が掲載される。昭和天皇がご危篤の折りゆえの〝天皇Xディ〟であり、1970年代に稀少部数、地下流通したポルノ写真に(畏れ多くも)ご皇室の顔写真をコラージュした冊子があって〝皇室ポルノ〟と称し、その内容が語られている。
この問題の数号前から(それとなく)この記事の予告が流され「ライター板坂剛の命の危機すら慮れる」などと冗談半分に煽っていたが、予想通りというか、予想を越えたというべきか、雑誌関連企業、スポンサーにまで右翼の街宣車が乗込んだのだ。そして、右翼団体との懇談を経て「天皇陛下様、皇太子殿下様、日本国民様」と題した(人をくったような)〝お詫び〟が掲載されるのが10月号、その前号の奥付から(右翼団体の殴り込みを怖れて)印刷会社の住所が削られた。
噂の眞相(1980.09-12)
それでも(苦労はしたのだろうが)表紙カバー裏&中面の広告3面は埋っている。昭和80年代ころまでは、(リスクを負って)こうしたヒリヒリした記事を書く破滅型のライターがおり、それを載せる編集者ものいたのだから、驚きもし頭も下がる。しかも2000年までその姿勢を貫いたのだから、文字通り身体を張った〝雑誌魂〟を見せてくれている。