高見順・伊原宇三郎・田村孝之介のビルマ.06 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
ビルマ
 高見順:共栄圏文化 ビルマ(1944)陸軍美術協会出版部
伊原
 伊原宇三郎 挿画
田村
 田村孝之介 挿画

高見順のルポに伊原宇三郎、田村孝之介の挿画を加えた「共栄圏文化 ビルマ」は昭和19年初版4,000部、兵隊さんの絵はなく純粋にビルマ(現ミャンマー)の風俗、文化などの紹介になっていて、戦争臭があまり感じられない紀行画文集といった体裁である。戦時中も割合日本に好意的だったビルマの紹介のせいか、高見順のルポものんびりしたもので、ビルマの風俗、特に〝ロンジー〟という巻きスカート風の国民服を珍しそうに紹介している。

ビルマではダゴン・キン・キン・レイという女流作家が、トルストイ「クロイツェル・ソナタ」やエミリー・ブロンテの翻案もので人気があり、最近はデュマ「モンテ・クリスト」の巌窟王的翻案や、シャーロック・ホームズが特に読まれ、火野葦平「兵隊三部作」がビルマ語訳されているなどとある。作家としての高見順の文学的興味といったところだろう。なお、高見はビルマやインドの上映映画の検閲にたずさわりながら時局文を書いていたようですね。