ディケンズ「少女瑠璃子」 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
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 横顔

昨日は敗戦必死のWBC野球キューバ戦から、女子サッカー“アルガルベカップ”戦に切り換えたものの、こちらもなんとも味の薄い試合で、佐々木監督も「すいませんでした」と謝るしかなかったか。不発だった田中陽子も周囲の期待につぶされないで育って欲しいけど、MF澤穂希を脅かすまでにはまだまだ時間がかかりそうだ。

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 ディケンズ:少女瑠璃子(昭12)中央公論社
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 少女瑠璃子口絵 宮本三郎/配本予告

昨ブログで触れたディケンズ「少女瑠璃子」は原題「骨董屋」として知られる。清純無垢な薄幸の少女ネル(瑠璃子)を描いた(E.A.ポーいわく)ディケンズの傑作。E.A.ポーはディケンズに私淑して作品や手紙を送ったりしていたようだが、ディケンズはつれなかったようだ。ディケンズ未完の「エドウィン・ドルートの謎」などはミステリのハシリだが「オリヴァー・トゥイスト」にしても、出生の秘密といった謎が埋め込まれていて読者の興味をひきつける。

E.A.ポーはさらにミステリ傾向を強めて独自の世界を開拓していくわけだが、現在のミステリの隆盛を彼等が知ったらなんと思うだろう。生き返らせてラノベでも読ませて感想を聞いてみたいもの。さて、挿絵は宮本三郎でカラー口絵が一葉挿入されている。巻末に次回配本予告のある「千鶴井家の人々」は「マーティン・チャズルウィット」の邦題のようですね。安価本が見つかったら読んでみたいものです。

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 ディケンズ:骨董屋(初1973-1989年)ちくま文庫/北川悌二訳