
小林祐梨子
全国実業団駅伝は録画観戦。5000mの小林が3区10,900mを走る。9月の全日本実業団選手権では、気分転換と10,000mに出場し福士を押さえて2位に入り不調を脱しつつある。仙台開催の実業団駅伝では、おりしも強風で軽量の小林は突風にこずかれながらも区間4位の快走だった。来季は5000m一本にしぼって巻き直すそうなので楽しみ。本当に「ターミネーター2」冒頭の破獄シーンのリンダ・ハミルトンのような弾むような走りをする。全盛時の野口みずきを軽くした感じ。
監督いわく、クレバーな印象の小林だが「(競技に対して純粋に向き合い)練習をしすぎて」大会へピークを合わせられず、結局ロンドンオリンピック出場を逃してしまった。駅伝中継に映し出される多くの選手のフォームを眺めながら、走る姿そのものが美しい選手はそうはいない。小林の走りには真に心打つものがあります。優勝はユニバーサルエンターテインメントで、1区からトップを譲らず完勝でした。2区で区間賞の中村萌乃は(われらが)新潟出身ですな。がんばれ!
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佐々木邦:地に爪痕を残すもの(昭24)講談社


田中比左良の表紙絵&装幀
佐々木邦「地に爪痕を残すもの」戦後の田中比左良装幀による改版仙花紙本を見つけて欲しくなった。戦時中時局に合わなかった田中比左良は、戦後は水を得たように活躍するがピークは昭和20年代半ばではないかと思われる。田中の挿画はエロス系ではありながら女性への温かい目線を感じるでしょう? エロスに品がありすぎてね。時代はもっと猥雑な方向に急進していた。小野佐世男などが田中を引継いで時代の奔流で波乗りを始めるのだが、典雅な?エロスもここまでで、時代はグラビアの商品化に向かい、より過激になっていくのはご存知のごとくです。
田中比左良はわが師にして究極の目的でもありますから、こうしていつまでも(彼の作品を)落ち穂拾いできるのは、愉しみ。