マキノ雅弘「浪人街」の近衛十四郎 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
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マキノ雅弘監督:浪人街(1957)近衛十四郎と高峰三枝子
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マキノ雅弘監督:浪人街(1957)

マキノ雅弘「浪人街」はサイレント時代の昭和3~4年に三部作が撮られ、以降マキノ自身のリメイクで月形龍之介(1939)、原健作(酔いどれ八萬騎:1951)、近衛十四郎(1957)、マキノ雅広の監修、黒木和雄監督、原田芳雄(1990)主演の5作すべての「浪人街」に関わった。無声の初作品は父マキノ省三総監督ということもあり、思い入れが強かったと思われる。マキノらしく主人公を換えたり目線立ち位置を変えている(ようだ)。DVDが見つかったら比較してみたい。

剣戟(ちゃんばら)映画は昭和に入ってから作られた。そのちゃんばら時代劇のヒーローが近衛十四郎だったわけだが、前ブログで書いたように戦後60年代はリアリズム映画にとって替わられると、近衛は映画→TV(素浪人月影兵庫)へとシフトせざるを得なくなる。近衛十四郎「浪人街」は、ある意味ちゃんばら映画の挽歌と言えなくもない。荒牧源内(近衛)は巾着きりのお新(水原真知子)に貢がせて、他所で高級娼婦(高峰)を相手にするといったジゴロな日々を送っている。

そんな折りお新が悪旗本に拉致され、見殺しにしようかと惑うアナーキーな近衛だが、結局無理筋を押して敵が待ちうける決闘の場に奔りだす。字幕に「時代考証:新井勝利(挿絵画家の?)」とあるのだが。元シナリオは山上伊太郎だが、本作は村上元三が脚色している。

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