百目鬼恭三郎「解体新著」 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
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百目鬼恭三郎の遺作「解体新著」エッシャーの絵を使い、彼に似合って怜悧でシニカルな良い装幀です。百目鬼は北海道小樽市生まれですが、旧制新潟高等学校で丸谷才一と知り合ったようです。博覧強記と毒舌をもって恐れられ、都留重人、山本健吉、筒井康隆、川上宗薫、佐藤愛子など次々とやり玉にあげたのに、丸谷才一「裏声で歌へ君が代」を絶賛したため、江藤淳に身内びいきと厳しく叩かれ、佐藤愛子には「巾着きりのツェツェ蠅のインポテンツのゲス野郎め! 朝日新聞という大看板の下に棲息するネズミ」と罵られている。書評も命がけです。

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桜がいきなり満開です。が、もう一息こんもり感に欠けるようです。中央図書館角のしだれ桜は晩生なのに、こちらも咲き始め今年は一緒くたですね。

 乳色の空に花房融けいりて糸ひく雨の道しるべかな

昼休み風なく花びらはそよとも動かず、時おり雨粒が舗道に小さな染みを穿っていく。