スティーヴン・ハンター「極大射程」と鼈甲細工 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
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最近知り合ったYさんの旧家から見つかったべっ甲細工です。帯留めでしょうかね?  ちょっとこの手の知識がありません。江戸時代後期のものらしいです。春に蔵を壊されるそうで、なにやらいろいろあるとのことで、いずれ時間を見つけてうかがいたいと思っています。下の写真はやはりべっ甲の櫛巻き、髪飾り、最後は銀製のかんざしでしょうか。螺鈿の象眼など細工が素晴らしい。お蔭さまで眼の保養をさせていただきました。

 櫛巻きにあげたる髪にべっ甲の琥珀のあかりあやしく灯る

 ながひざで耳かきたどる白昼夢銀のかんざし波紋きらめき

「櫛巻きお藤」といえば怪人丹下左膳を好いたらしく思う変わり者の姐御だが、ねっとりと濡れた黒髪卷かれた櫛巻きが、あんどんの灯火を妖しく透いた風情など今どき味わってみようがない。エコをいうなら、皆和髪に結って夜は電燈を廃してあんどんはどうだろう。また、良き人の膝の温もりを楽しみながら耳かき頼む穏やかな午後、窓からの斜光に銀かんざしがキラキラと膝頭に波紋を描いてる。水面のきらめきに似て眺めているうちに夢魔に引込まれていくのだ。極楽だなぁ。

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人の命は限りがありますが、こうした精巧な細工物は永遠に引継がれていきます。運が良ければですが。現代人もコストの呪縛を解いて、後世に恥じない手工芸品を残さねばなりませぬ。自戒をこめて。さて、昨夜TVで「ザ・シューター/極大射程」を観ました。スティーヴン・ハンターの傑作ミステリで随分前に読んで感心したのを覚えています。映像では、米国の黄門的印籠ともいうべき「正義」臭が感じられて残念でしたが、楽しく拝見しました。