酒井徳男「水曜荘」に酒井秀夫「停電の夜の出来事」版画 | mizusumashi-tei みずすまし亭通信
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数百円でネット買いした無名氏の手彩色の銅版画ですが、封筒裏に酒井秀夫作と名前があります。送り主は秀夫の兄・酒井徳男で新聞記者のかたわら古書蒐集に血道をあげ、自身でも限定本や豆本を造っていた様子です。古本サイトに酒井徳男責任編集・大人の本道楽「寿多袋(ずたぶくろ)全31冊が載っています。内10号と第25号に特装本が存在するそうで、本が好きで好きでたまらないという感じなのですね。こちらの手彩色銅版画は、その手の本に一枚ずつ手ばりされたものでしょうか。違うかな?

読み難いのですが、封書には昭和28年3月8日の消印が押してあります。いずれも永井荷風に関連したもので、作品も見事ですがこれはお宝発掘になりました。酒井徳男と交流のあった人物の生写真、葉書、手紙、版画などをランダムに貼りこんだ趣味の帳面「水曜荘百趣味帖」にも、弟秀夫の手彩色作品が十数葉貼り込まれているそうです。「水曜荘」というのが、酒井徳男の趣味的造本工房なのですね。あまり情報がないので曖昧なのが残念です。

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あるいは封書表に「挿絵在中」とただし書きがありますので、荷風本の挿絵に使われたのかも知れません。作品内に「永井荷風作 停電の夜の出来事」とありますので、記憶の隅に留めて幸運なる遭遇を気長に待つ以外にありません。酒井徳男・秀夫など初めて知りました。いろいろな人が様々な暇つぶしを見つけては愉しんでいます。油断も隙もありませんな(違うか)。まぁ時にこんなことがありますのでネット散策がやめられません。

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古本ではヂッケンズ物語全集「少女瑠璃子」昭和12年発刊本が届きました。デッケンズ「骨董屋」の旧訳ですが、訳者に松本泰(たい)・恵子とあります。松本泰は探偵小説の草分のひとりで。確か江戸川乱歩の先陣きって文壇に登場したのではなかったかしら。今では知る人も少なくなりましたが、ちょっと面白半分に買ってみました。北川悌二訳ちくま文庫版「骨董屋(上・下)」が手元にありますので、時間がかかりそうですが読み比べてみようと思っています。さてさて、腰が痛く座り仕事が大変です。