京都人は美味しくない時は、すぐその場で文句を言うそうですが、さすがに店を出る時
は 私は 「 ご馳走様でした。 」 と 何も言わずに立ち去りました。
しかし、ホテルに帰ってから、あまりの不味さに気持ちがおさまらなくて、ご主人に電話を
しました。
「 お椀のお出汁が不味くて、とてもプロの料理人が作ったとは思えませんでした。
素人の私が作った昆布と鰹節のお出汁の方が美味しいと思いました。
それに、旬の京野菜の海老芋が固くて固くて、お箸で割れずに、仕方なく口でかじりました。
竹串でさえ刺さなかったのですか?
私達が気に入って月に1回行っている広尾の 『 青草窠 (せいそうか) 』 では、立派な
海老芋を丸ごと一度蒸して、その中の一番美味しい真ん中の部分一切れだけをとろけるよう
に煮て 古染付 のお皿にたった一切れだけ、供してくれます。
お宅で出されたのは、いかにもしなびた端っこで、メインでもなんでもなく、お粗末な限り
でした。
今まで懐石料理屋でお箸でどうしても割れない煮物を出されたことはありません。
まして、京都の冬のブランドの海老芋でしょう。
私は少食ですが、毎回 『 青草窠 』 のお料理は完食しますし、お椀と野菜がメインと
いう引き算の料理はとても勉強になります。
昨夜行った、京野菜を使った優しいイタリアン 『 O b a s e 』 もコースを美味しく完食
しました。
コースもよく考えられていて、 量もほどほどで、まるで上質の日本食を頂いているかの
ようでした。」 と 言いました。
するとご主人が 「 出汁って、昆布か鰹節か何を使ったらいいんでしょうか? 」 と言われ
とてもプロの料理人とは思えない発言でビックリ
何でも東京の聞いたことのないある店で14年修業をしたとかで、他に一切勉強して
いないということでした。
さらに私に 「 京都でどこの店がお出汁が美味しいんでしょう?」 と 聞く有様。
私が 「 『 飯 田 』 が美味しかったと思います。」 と言うと、どうも 『 飯 田 』 を
知らないない様子 ・・・・ 。
全くもって独りよがりで勉強していないな ・・・・・ と思いました。
そして 「 もう一度、チャンスを頂けないでしょうか? 来年、もう一度食べに来て頂け
ませんか? 」 という始末。
私は 「 あなたが勉強しないなら、何回来ても同じでしょう。 もっとも時間があれば一度、
東京の 『 青草窠 』 のお料理を食べにいかれてはどうですか?」 と 言いました。
ご主人は 「 いろいろ申し訳ありませんでした。」 と 謝るばかりでした。
高いわ、不味いわ で実に後味の悪い一夜になってしまいました。
ちなみに、私達が毎回食べる 『 青草窠 』 の お料理はお昼のお安い方で、7千円で
味もお腹も大満足ですよ