枝止めになる一枝と、山吹の花一本の、軽やかな春の姿です。
自然からの恵みを分けてもらう為、いつでも花が手に入る訳ではないし、
草花を無駄に摘む事は避けたいので、器の内側に チカラ があふれている
花器を選ぶようにしています。
この硝子壺は、常滑の三筋壺 (さんきんこ) を意識されて作られた
のだと思います。
瀬沼さんは 古銅花入や、高麗の青銅の瓶、様々な古窯の焼物の線を
どう硝子で作るか? 又、吹く ・・・ ふくらます ・・・ という硝子の性質から
どう近づくか? 離れるか? など色々と考え、しかし頭でっかちには
ならずにカタチ作ろうとしている作家さんです。
口の広い花入れは、花を多く入れないと ・・・ と思われるかもしれません
が、花を止める枝を花器の口元に掛けておくと、そっと添わせるだけで花が
落ち着いて留(と)まってくれます。
少し曇りがかっているのは、砂に埋めて冷ます技法によるものです。
このクラック (ひび) も、どんな風に入るかは計算できないそうです。
( みやこわすれ の代筆 草靖 )