東京にも雪が積りました。
私の故郷では、雪はめったに降ったことがなかったので、幼い頃、初めて粉雪が
降ったある日、何故か、素足になって、庭の雪の上を飛び回ったら、冷たくて、
びっくりした経験があります。
だから、今でも、雪が積ると、心うれしく、庭ばかりのぞいてしまうのです。
「枕草子」の中で、”冬はつとめて(早朝が良い!)”という一節があるように、
きりりと身の引き締まるような寒さの中、早朝の美が、そこにあります。
住職で、庭園デザイナーの枡野(ますの)俊明さんは、「西洋は、色とりどりの花や
緑で空間を満たしていく、足し算の庭。これに対して、日本は、”引き算の美学”で
簡素な庭の美を重んじる。」と言われています。
冬の、木々の葉が落ちた庭は、色合いは欠けるものの、逆に、水墨画のような
世界が広がっています。
内向性の強い、利休の茶室は、まさに冬の庭かもしれません。
冬だからこそ、めでることができる美しさもあります。