人と「ひと」。
其処には深い溝、
全く違ふ次元がある。
人、人間、家族、国家、
あと、自分。
誰が其れを目撃した?
其れを瞳に写した事があつただらうか?
自分といふ違和感、
其れが本当の違和感、
其れが本物の視力をもたらす。
其れ以外の違和感は練習に過ぎない。
人は介入したい症候群、
または介入されたい症のままでゐたがるだらう…
依存や関係、
其れが豊かさだと思ふだらう。
其れは最後のわがまま、
其れはいつもの心、
よくある癖。
選り好み。
人を動かすとか、変へるとか、
又は啓蒙救済といふやうな大袈裟なことでなくても、
愛してるでも、さみしいでも、
さりげない症状があらはれる。
さりげなく自分があらはれる。
自分といふ癖、症状、
其れはしづかな病で、
最後に見つかる病だらう。
勿論、死期が迫り気づくことも多い。
何も要らない。
恋人を濡らすに指先も要らない。
旋律も要らない。
何も…
足音だけ、
予感、
遠い予感、
灯油ストーブ。
とても時間のかかるストーブだ。
もちろん其れを止めても、
長い余韻のストーブなのだ。
やかんの湯気の、
揺れと消へるを、
けふ、こんな日はよい。
其れが挨拶。