口語体を基本にした俳句集です。


口語体・現代仮名づかい・現代的切れ字を基本にして詠んだ句をまとめました。


2023年の年間作品集になります。

よろしければご覧になってみてください。



下記の文語体や歴史的仮名づかい・古切れ字を使っていないこともご確認ください。


や・かな・けり・たる・たり・なる・なり・あり・をり・ぬ・べし・にて・らむ・けむ・とや・てふ・ゐて・ゐし・し・き・等々


また口語体で俳句を詠むと稚拙になるのかについても検証など行ってみてください。



*俳句でいう「口語」は現代語の文体、「文語」は平安時代の文法に基づく文体ともされています


*作品はすべて既発表句です





口語俳句
400句
〜2023年 作品集〜

◇ 夏の句 ◇

写生紙をはみ出してこそ富士は夏

新幹線富士過ぎてゆくすずしさよ

城の屋根そりかえりつつ今朝の夏

こいのぼりのぼりゆくかに川風よ

葉ざくらのかげよひかりよ写生帳

芝に寝てこころすずしくくもの上

いっぽんのゆびとたわむれ風鈴よ

うれしさをざくざくくずすかき氷

見て億千見つめてひとつなつの星

たけのこよざわわざわわと竹の空

くぐるたびひろがる園よ薔薇の門

新茶くむ机辺木もれ日ゆらゆらと

竿ふって毛針舞わすよなつのかわ

夏の蝶かぜのながれのままに飛ぶ

母の日の鳩おおぞらをおりてこず

麦笛よふるさとわすれわすれられ

たいようへいくせんの穂よ麦の秋

繁華街灯したたらせて梅雨に入る

もわもわとあたま現せかたつむり

かたつむり這いゆくように晩学よ

田舎には田舎のじかんかたつむり

いちにさんあとはかぞえず蛍の夜

交番は灯ともしつづけおくり梅雨

神戸港灯となるたびにすずしさよ

日の丸が空にはたはた梅雨明けか

うたがわずきく梅雨明けの雷鳴よ

かいきょうをまたぐ大橋けさの虹

空ほどにひろがる海よヨットの帆

水上バイクしぶきをあげて湾は夏

浜にでてみるみるひいてゆく汗よ

沖にまでひとひとひとようみの家

瀬戸内のうみまっしろに西日さす

航海の夜ぞらふるわすかみなりか

すずしさが目にありありと北極星

黄の蕊のうずもれるまで牡丹咲く

白牡丹かげ描くことがデッサンか

れいぼうよどの絵もくらく美術館

気力あるひとは長生き蚊をたたく

山寺が鳴いているかにせみしぐれ

晩年のじぶんにひびくくさぶえよ

赤さとは甘さトマトにかじりつく

かおあげてながれる汗の中に立つ

どの田にもひとりふたりよ大夕焼

ひきがえる鳴いてふるわす夜の闇

風のおとあたまにのせて麦わら帽

いま沖のきらめきのなかうみの家

はしりだすひとかたまりの船虫よ

風つどう指飛びたっててんとう虫

航跡のせとないかいよなつの暮れ

わかれきてその夜につるす風鈴よ

生き死にの音ひびかせて蠅たたく

登山とは空をあるくということか

登山杖いっ歩いっ歩をはやまらず

山おくになお奥あってほととぎす

けわしさよ鎖でのぼるいしづち山

日の光りさしこんで谷ほととぎす

飛びたってときながれだす白鷺よ

庭を掃くおとたえず寺ほととぎす

大岩に触れた手からもしたたるか

つので空ひっくりかえすかぶと虫

かじりつくトマトたとえば水の玉

指先でもちあげつつよいちご摘む

絵のように浮かぶボートの人々よ

渓流のおと夢にまでキャンプの夜

鮎ときに跳んで山河をきらめかす

どこの水富士よりの水ところてん

神木よ地にふりしきるせみのこえ

荒神輿みずをかけてもおさまらず

人びとがうず巻くなかを神輿行く

手に持って浅草ソフトクリームよ

大鳥居くぐればあかりまつりの夜

死のさきに生見えてくる手花火よ

いっぽんのうちわと蚊取り線香と

祭の夜更けてめでたしめでたしよ

ゆびさきでふれてひやりと金魚鉢

またひとりひらく日傘よ晶子の忌

羽ひろげ鳩おりてくるふんすいよ

なつつばめ五重の塔にかぜのおと

みな夏の青さのなかよすいぞく館

ぼんやりと将来見えてなつやすみ

夏のうみゆびでたどって地球儀よ

ここはどこここはふるさと昼寝覚

空ほどにひろい畑よパイナップル

あさの日をあびてテントと山々と

見るほどにうごくこころよ雲の峰

木あおげは目玉がふたつ青葉木菟

せみのこえそらに吸われて山頂よ

滝こだま山ふかければふかいほど

かぶとむし対かぶとむし木々騒ぐ

バーベキュー全員日焼しながらよ

はしる蟹ひっくりかえす波来ては

飲みくだす喉のちからよ黒ビール

東京タワー昭和の夏のざわめきよ

選手立つ空あおあおと飛び込み台

三振もダイナミックにナイターよ

切実よいっぽんの木のせみしぐれ

日に透けて水であるかに目高らよ

さるすべり馬鹿にせず花赤ければ

箸先よひかりをすするところてん

繁華街手ぶらであるくすずしさよ

ふるさとの大きさほどの神輿行く

はるばるときえゆく虹とふる里と

広島とせかいのそらにふんすいよ

ひろしまへいわ記念式典蝉しぐれ


◇ 秋の句 ◇

えどがわよぱらぱらしだれ大花火

黒ぶどうにひかりをいれて写生帳

ながさきへいわ祈念式典かねは秋

あさがおよかべ咲きのぼる花の数

星ぞらにむすぶ願いよたなばた竹

ほしぞらがしだれてくるか七夕竹

光年のものしずかさよあまのがわ

船たびよ西にとおのくあまのがわ

追いかぜよ手あしすすめて阿波踊

手すすめていっ歩も引かず阿波踊

戦没碑とおい日をきくひぐらしよ

白菊がまっしろに咲く日なたこそ

おおひなた摘んであるくか草の花

わかれてもそらにひとつよ盆の月

あさがおよいにしえの京いまの京

雁の列みだれてはまたととのって

そらをあおぐ第六感よことり来る

山やまをぐるりとうつすつゆの玉

身に残るいのちも露のまぶしさよ

鹿のこえさびしいことよ奈良の雨

大仏のむねのたかさをとんぼとぶ

五重塔ひぐらしのこえつぎつぎよ

すすき手に旅びと同士ちかよらず

黙々とちんもくひろうどんぐりよ

照らされていまがなつかし秋夕焼

星ぞらをただ聞くだけの虫の夜よ

生きたあとどうなるものか天の川

ひこうき雲きえて八月過ぎゆくか

あしもとよ落ちてかさなる桐一葉

大鳥居世にくぐり出てあきかぜよ

水のうえにころがしておけ大西瓜

くるくると西瓜ころがれ水のうえ

黒葡萄ぎゅうぎゅうづめの一房よ

しろじろと沖きらめいて九月来る

顔上げてぐるりいちめんいわし雲

三日月にすがた重ねて子規の忌よ

草のそらつぎつぎに絮飛び立って

吹くたびにかんじる空よ草のわた

杖のおと歩をきよめるか秋へんろ

駅の空とんぼばかりのゆうぐれか

ゆうぞらよどこあおいでも渡り鳥

月あかりあすには道後去りゆくと

垂れすすきふさのさきまで重力よ

木にとまる鳶したたるか秋のあめ

ふつかまだ河しずまらず台風あと

あおあおと水の地球のつゆけさよ

摘むたびに日がさしこんで葡萄棚

木にとまる鴉は暮れずあきのくれ

流星群ゆびさしてよりつぎつぎよ

庭先よほしぞらじゅうに虫のこえ

行くほどに空いろづくかもみじ坂

日がさしていろとりもどす紅葉谷

雲あおぐ畑の案山子よかげ日なた

このみちは日に行きつくか秋夕焼

くつおとの濡れていてこそ霧の街

冷ややかようごかずのほし北極星

木あおいで手にありがたく毬栗よ

一山をちょっと摘んではきのこ汁

霧の山あしおとだけのしずかさよ

あかとんぼさお飛び立つな大夕日

生きるとは灯ともすことか秋の暮

とぶ鴉ひとこえごとにあきのくれ

いわし雲赤あかとして暮れきらず

あおぐ顔あかるんでより十五夜よ

屋じょうのきょうの高さよ望の月

かぞく来てとなりにならぶ望の月

雲切れてすがたあらわせ月見びと

鑑真の目にまんげつのあかるさよ

栗羊羹かるくほほえむあまさこそ

まっしろにかがやく露の仁和寺よ

日をのせて東寺の塔よあきのくれ

一つついてせんねんのおと鐘の秋

さおさして舟も一葉か散るやなぎ

五重の塔かげそのものの十六夜よ

仰ぐみなうしろすがたの十六夜よ

よその家のはしらにもたれ寝待月

ひとりずつちがうこころの観月よ

長良川千々のひかりのとんぼとぶ

あしもとよときおり秋のつむじ風

しんしんとせまりくる絵よ美術展

あかとんぼ西の空ごと暮れゆくか

なみおとが暮れのこったか秋の浜

ただなかにたたずんでこそ星月夜

ゆく秋を味わいつつよコーヒー店

なんどでもほろぶ地球の露けさよ

こおろぎよふるさとという夜の闇

ふける夜よ十にも満たずのこる虫

いねを干す戦前戦後きょうあした

神だなはいつも頭じょうに豊の秋

すずめ来て突つきのこすな大刈田

いちねんをながめて立つか大刈田

ねぎらうかひとにぎりして秋の土

さし上げてだれよりたかく秋神輿

ふるまいの酒尽きるまで秋まつり

まちじゅうに紙垂のしろさよ秋祭

秋の蝶しの字のかぜに舞いあがれ

ぶどう棚空を摘んでも摘んでもよ

木のみきよいくつひかって月夜茸

しずかさがきこえてくるか秋の滝

古寺のそのままの美よぶんかの日

寺町は屋根屋根屋根よことり来る

あきへんろ杖つく音も暮れゆくか

秋遍路うしろすがたはいつわれず

撞く影よゆうぞらじゅうが鐘の秋

ことごとく視界のそとへ銀杏散る

ぐるぐると枝うねってよ松手入れ

空でふと思案しながらとんぼとぶ

木を落ちて未来ころがる椎の実よ

ゆく秋の河のながれのはやさこそ

千の灯がてらしだす橋あきのくれ

屋じょうよいまオリオン座流星群

虫籠が鳴きだしてよりしずかさよ

まんげつよたたみのうえのひじ枕

世の空があかるみはじめ夜学の灯

ひややかに満ちゆく明けの明星が

コーヒーのまめ挽くおとよ冬間近


◇ 冬の句 ◇

白鳥よ日の揺れうつるみずのうえ

そのあしであるいてゆくか七五三

いちまいのそらどの家も布団干す

幸せをこそおもいだす日なたぼこ

なおあおぐことしのそらよ十一月

いちにちを掃きあつめてよ落葉焚

水仙よどれを剪ってもかぜのおと

手のひらに黙にぎりしめふゆの土

日をあびてみな棒立ちよ大枯れ野

いっせいよ鳩もかけだす初しぐれ

あさは掃きひるは焚きあげ神無月

写真館昭和そのものふゆあたたか

おどろいて水さわぎだす浮き寝鳥

木がらしよ身ひくくはしる人力車

あかい大阪あおい東京ふゆの灯よ

去るひとは風とともによおでん酒

茶をたてて直の背すじよ冬つばき

とおくなる日ごとに冬の夕焼けが

マスクしてあたたまりだす胸の奥

このさきもせんそうへいわ粉雪よ

町おこししてもしてもよ雪が降る

子らやがて日本つくるか雪だるま

一歩出てみさきのそらよ鷹が飛ぶ

岩にいてまた波にいてふゆかもめ

おおくじらおよいでゆくか幾千年

あおぐ木のおおきさほどよ朴落葉

木みあげていろさまざまよ冬紅葉

凍て鶴に星がまたたきはじめたか

生ききれず死にきれず手に冬胡桃

くべくべてこころは暮れず落葉焚

学院にいのりのじかん木の葉降る

つき過ぎずはなれ過ぎずよ浮寝鳥

京というふる雪というしずかさよ

手ばかりがいきいきうごく冬耕よ

はたらいてよい日があたる蜜柑山

鬼がわら目をみひらいて霜の屋根

とどく陽よ野のどこかより冬の蝶

にんげんがまっさきに暮れ浜焚火

いちまいのそらごとふゆの空港か

夕映えよこころに据える雪の富士

降るあめよ暮れていちにち浮寝鳥

ゆきだるましろじろと見え夜の奥

巻く風が家ゆさぶってこたつの夜

かんぱいの手ごと手ごとよ忘年会

熱燗よことばなくてもあたたまり

交番よ灯ひとつともるとしのくれ

あたたまれ湯気ごくごくと玉子酒

ねむる子にときながれだす風邪薬

明けがたよ僧たちの大すすはらい

ことしまた降りだす雪の気重さよ

まっしろなせかいにこえよ雪合戦

寒菊のかすかにかおる日なたこそ

こと祝ぎの手に手に届け賀状書く

舞い舞ってときをこえるか里神楽

せんぼんのつららしずかに凍滝よ

冬菊よ子にはすべてがめずらしく

まるまるとくびをすくめて冬の鳩

おでん酒頬でわらっているばかり

うなばらに降ってさだかよ雪の島

このさきはかもめのそらよ冬の崖

風邪ぐすりおおきくうごくのど仏

いっぽんの松迫りくる絵ぶすまよ

湯豆腐よ二人には間があるばかり

いきいきとれきしの果ての聖夜劇

あおぎ見てはてに何ある聖樹の灯

鯛焼屋どこにでもあるめでたさよ

来る年をあきらかにしてこよみ売

かえりみちはるばる日なた年の市

かおあげて天にものぼる日向ぼこ

拭きふいて窓よこころよ煤はらい

やおよろずの神々の土地注連飾る

いちねんがここにおちつく落葉焚

あたらしくなる世も人も年の暮れ

見ひらく目細める目によ初日の出

いるほどが跳んで神社の初すずめ

あしもとをあるき羽ばたき初鳩よ

つぎつぎにとぶ初鳩のそらひとつ

はるばると近くにみえて初富士よ

手に手によつぎつぎあがる正月凧

さいげつをゆびでめくって新日記

ふたとってのの字の湯気よ雑煮椀

はつがらす一の鳥居を飛び立つか

初がらすあわれが飛んでゆく町よ

日だまりにひかりほころぶ福寿草

くべくべて空のちかさよどんど焼

富士のかげあらわに冬の星ぞらよ

船旅よ無がふりつづくゆきのうみ

おおくじらちいさな星の海を跳ぶ

また朝よ摘んでも摘んでも蜜柑山

寒すずめ日のさす土をついばむか

手かざしてさいげつという落葉焚

ぶるるるとふるえる犬よ雪あそび

舞う雪のあかあおきいろ灯の街よ

飲みほしてあすのかおりの生姜酒

受ける手をいくつこぼれて福の豆


◇ 春の句 ◇

うぐいすの空をひらいてゆく声よ

この心千々に飛ばしてしゃぼん玉

手のひらに落ち街に落ちぼたん雪

ふんえんがあがる大阿蘇はるの馬

ひとすじにひかる大河の雪解けよ

せとないかい島からそらへ春の虹

航跡はすえひろがりよはるかもめ

こでまりよ咲き越えている塀の上

のぼる坂目にもおおきなはるの月

はるのほしいくせんまんよ天文台

梅の花ほほ笑むようにまぶしむか

たちあがる牛のかなたのくもよ春

かげ落とし牛はあゆむか花すみれ

はるの湯気のの字しの字よ珈琲店

菜ばしよ手間の料理のつくし和え

そのはてのそらあおあおと梅の花

つぎつぎとあからむつぼみ椿咲く

石段のいちだんずつよ落ちつばき

恋の猫毛をさかだててたたかうか

地上から引っぱりつづけ凧揚げよ

仰ぎみてあっとうてきな富士よ春

囀りというよろこびを聞いて立つ

ぼんぼりよあかるくくらく飾り雛

流し雛うしろすがたであってこそ

西行のおもいのこしのない忌こそ

土かけて死ぬ死芽吹く死ものの種

渦巻いておたまじゃくしよ水の底

ばらばらのこえがひとつに夜の蛙

目にうかぶ満開のそらはつざくら

ふぶくのは満月のころはつざくら

つばめ来て全国晴れのあかるさよ

ひるがえる黒また白のつばめらよ

生きるとは目が覚めること百千鳥

身のばして鳥さえずるかえだの先

花満ちていろさまざまのよしの山

目ひらいて花目つむって花ふぶき

ふぶきだすそらいちめんよ大花見

はなびらの二十日ふぶいて吉野山

花冷えの小川もっともせせらぐか

ひとこえで峡谷晴れのうぐいすよ

寝について奈良は蛙のこえのなか

田蛙のこえにまたたくほしぞらよ

ひざのうえにぎりこぶしよ卒業式

夜行バスはしりゆく先春あけぼの

ちかくあるまんげつ桜舞いだすか

目のおくへしだれざくらの枝々よ

下からもふぶいてくるかさくら坂

すわる椅子よこいちれつよ入社式

屋根屋根に雨のち晴のさえずりよ

ふんえんのあれが浅間か朝ざくら

花見して平和をしんじきっていた

あしもとにしだれざくらの枝先よ

はなふぶき仰いで一人はなふぶき

こんなにもそらふぶくとは花見舟

ふぶくたびこころはそらへ花見舟

はなふぶき満開のそらいちめんよ

夜のそらをくらくともして花の宴

日あたってあかるくくらく白藤よ

ながながとふじはなぶさに重力よ

いにしえのかおりの寺よ花まつり

とおい日が咲きでて奈良の八重桜

船たびよ島ひとつずつさくらどき

灯の下に洗ってわかめあおあおと

石にこころきざんで歌碑よ鳥雲に

母子草はっとこころをとりもどす

春の雁とびたって無のみずうみよ

瀬戸の島おぼろ月夜ということか

街じゅうが水輪模様よはるのあめ

来る河のながれにかげよのぼり鮎

にしのそらひがしのそらよ凧合戦

野に摘んで何おもいだす忘れな草

ふもとから咲き上ったか山つばき

ふきかえて茅葺き屋根の星ぞらよ

行く日々ののこりの一つさくら餅

花なずな細ごま咲いてけなげさよ

時計台かげながながとはるのくれ

空港の屋じょうに出てながい日よ

背のばしてねむりねむらず春炬燵

とかいに灯いなかに闇よおぼろ月

亡くなって形見のようにはるの月

網ひいて夜の青あおとほたるいか

この星に朝来つづけてさえずるか

靴のうら濡らし濡らさずはるの浜

つぎつぎと引いてゆく波春惜しむ

まんげつをひとつ残して春ゆくか


2023年
1月1日〜12月31日


いつも
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ありがとうございます


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