64冊目
「吹毛剣 楊令伝読本」
北方謙三
集英社文庫
- 吹毛剣 楊令伝読本 (集英社文庫)/集英社
- ¥578
- Amazon.co.jp
「替天行道」の志を受け継いだ楊令の闘いと、熱き漢たちの生き様を壮大なスケールで描いた、北方謙三の『楊令伝』。
文庫版全十五巻完結を記念して、公式読本が文庫オリジナルで登場。
地図や年表、厖大な登場人物たちを網羅した人物事典、著者のエッセイや対談、さらにはここでしか読めない担当編集者のウラ話など、『楊令伝』の世界をもっと楽しむためのコンテンツが満載。
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「楊令伝」の感想を全巻書き終えて久しいですけど、実はこの本も読んでおりました。
「水滸伝」のほうのこういう読本である「替天行道」は悩んだ挙句結局読まなかったのですが、「楊令伝」のあのラストや最後の戦いがあまりに印象的だったので、ついつい本屋で手に取り、気が付いたら買ってしまっていたというのが正直なところです。
まあネタバラシが主なこの本について感想を述べるってのも難しいことろなんですが、ひとつとても印象に残ったエピソードがあったので、ふんわりとした感じでご紹介します。
それは、「水滸伝」の頃からの古参で、でもそんなに派手なキャラじゃない某さんの話なんですけどね。
北方さんはこの某さんを、年齢による退役、そして病死というルートをたどるイメージで、ちょいちょい伏線を張ってたらしいんですよね。
でも、そんな構想が固まりつつあったある日、楊令伝新刊(ハードカバーの方)記念サイン会で、やってきたファンに、涙ながらにこう言われたのだそうです。
「某さんは死にますよね」
「分かってます。ただお願いがあります。某さんは戦死にしてください」
普段そういう『助命嘆願』は受け容れない北方さんですが、ファンの意気を汲み、晴れて(?)某さんは戦死しました。
個人的にも、「水滸伝」「楊令伝」中でも最も鮮烈でカッコイイ死にざまだと言っても過言ではない最期でした。
紙の上、作者の頭の中だけではなく、こういう出逢いで物語が深化する。そういうのは素晴らしいですよねぇ。
これを読んで「替天行道」も断然読みたくなったのですが、読む前に「水滸伝」(全19巻)の読み直しは必須だよなぁ、とか思って、、二の足を全力で踏みしめ中。
いずれは、いずれは読みたいんですけどね!(ぐりぐり)