33.「楊令伝15 天穹の章」北方謙三 | 町に出ず、書を読もう。

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物語がないと生きていけない。社会生活不適合者街道まっしぐら人間の自己満足読書日記です。

33冊目

「楊令伝15 天穹の章」

北方謙三

集英社文庫




楊令伝 15 天穹の章 (集英社文庫)/集英社
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嗚呼、遂に終わってしまった。




既存の国とは一線を画した新しい国。




その新しい国は、旧い国を呑み込み、中華を席巻する勢いだった。




そのはずだったのに・・・




思えば、梁山泊はこれまであまりに恵まれていた。




無論、根底には宋江が記した「替天行道」をはじめとする、世直しの志があった。




放蕩三昧の皇帝、私腹を肥やす近臣、重税に喘ぐ民と、革命の素地は充分すぎるほど揃っていた。




だからこそ、梁山泊はあれほどまでに抗うことができたのだし、




新生梁山泊は、ここまで大きくなることができた。




しかし、順風はいずれ必ず、逆風に変わる。




そしてその逆風は、次々と不測の事態を呼び込んで、




その連鎖が、盤石に見えたものをも、無残に崩していく。




何が悪かったのか。




どこで誤ったのか。




そんなことを、軽々に判断することはできない。




すべてはこれまでの積み重ねであり、




気紛れな天の差配でもある。




畢竟、ただ今眼前にあるものに、全力で取り組むほかはないのだ・・・




・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・





・・・感想を書くつもりが、あらすじのような総評のような文章を書いてしまった。




いや、なんかもうね、言いたいことは山盛りあるんですけどね。




でも、言葉にならないというか、言葉に出来ないというか・・・




そのうえネタバレも考慮すると、こんなへんちくりんな文章になってしまいました。




まあ、要約すると、決して万全とは言えない状態で、梁山泊が最後の大戦をするのです。




その戦がもう、悲壮で、だからこそ荘厳でもあって。




正直完結巻なのだから、この戦がどうなるかってのは薄々は分かっているのですよ。




それでも。




だからこそ。




悔いのない戦を、晴れやかな結末を、祈るような気持ちで読みました。




北方さんの描く戦はとても面白く、特に大きな戦の時なんかは、いつまでもこのシーンが終わって欲しくないな、なんて思うことがよくあります。




この戦も、始めはそうでした。




しかし最後には、




「もう終わってくれ頼むから!」




そう思ってしまうほど、敵味方あわせ、多くの男が散っていきました。




この後には「岳飛伝」が控えているというのに、こんなに死んでしまうなんて・・・




正直ショックでした。




特に若い連中が死んでしまうというのがねぇ。




何回も言いますけど、後に「岳飛伝」が控えているというのに、子も遺さずに逝っちまうんですよこいつらは。




うーん、「岳飛伝」がすごく気になります。




何巻出るか分からないので、資金とスペースの都合上文庫化を待つ気満々なのですが、店頭にハードカバーが並んでるのを見ると読みたくなるなぁ。




むむ、いかんいかん。我慢我慢・・・