あるところに、盾と矛を売る楚人の商人がいました。
商人は、店頭に並ぶ商品を誉めて、こんなことを言っていました。
「この盾はとても堅いんだ。どんな矛でも貫けないよ」
またある時は、こう言いました。
「この矛はとても鋭いんだ。どんな盾でも貫けるよ」
ある日のこと。
盾の話、矛の話の双方を聞いていた客が、こう言いました。
「最強の盾にしても、最強の矛にしても、こんな辺鄙な店に売ってるわけないだろ、常識的に考えて」