「楊令伝14 星歳の章」
北方謙三
集英社文庫

ついに終幕へと近づいてきた楊令伝でございます。
とりあえず言っておくべきこととしては、
この巻でも好漢がいっぱい死にます。
梁山泊初期の頃から縁の下の力となっていたあの人。
自然死以外での退場が想像すらできなかったあの人。
近しい人たちの死を振り切るかのように職務に邁進していたあの人。
前巻で死亡フラグをポッキリ折って生き残っていたあの人。
弁解を一切せず、自らの矜持と志に殉じたあの人。
梁山泊という「公」の場で、身内という「私」に接するスタンスを最後まで測りかねていたあの人。
普段強気な友の殊勝な頼みを聞き、最後まで戦場で中央に立ち続けたあの人。
たくさんの人が散って行きました。
その中でも生き残っていく人ももちろんいるわけで・・・
楊令がある人に言った
「あの人も、死んだのか。俺は、もうそう思いたくないのだ」
という言葉が、振り向くと死屍累々が積み重ねられているこの物語を象徴しているような気がします。
さあ、あと1冊。
どのような結末が待ち受けているのでしょうか・・・