57冊目
「乱暴と待機」
本谷有希子
MF文庫ダ・ヴィンチ
二段ベッドが置かれた、陰気な借家に同居する“妹”こと奈々瀬と“兄”英則。
奈々瀬は家にこもり「あの日」から笑顔を見せなくなった“兄”を喜ばせるため日々「出し物」のネタを考えながら、英則からこの世で最も残酷な復讐をされる日を待ち続けている。
一方、英則はそんな“妹”を屋根裏に潜り込んでは覗く、という行為を繰り返していた。
そこへ英則の同僚・番上が訪れ…
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んー、なんとも表現し難いこの雰囲気がもどかしい。
最初に分かっているのは、英則と奈々瀬が何らかの理由で同居していること。
そして、英則が奈々瀬を支配下に置いている、ということくらい。
でもだんだんと、奈々瀬も『この状況』を維持するために努力していることが分かってきて…
うーん、やはり説明がしにくい。
ま、とりあえず、面白かったです。(逃げた)
本谷作品はこれで2冊目なのですが、こういうヘンチクリンな家族群像というか、幸せか不幸せかさえ判然としないような奇妙な人間関係というか、そういうのが上手いなぁという印象。
話としては陰鬱で粘着質なはずなのに、コミカルさやライトさも垣間見えて、とても読みやすいし頭に入ってきやすいですね。
これはそろそろ、全作品読みたくなってきたなー。