77冊目
「8年」
堂場瞬一
オリンピックで華々しい活躍をし、当然プロ入りを期待されたが、ある理由から野球を捨ててしまった投手・藤原雄大。8年後、30歳を過ぎた彼は、突然、ニューヨークのメジャー球団に入団する。あの男ともう一度対戦したい! その悲願のためだけに…。
(単行本あらすじより)
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あらすじの補足をしておくと、ニューヨークのメジャー球団と言ってもヤンキースでもメッツでもなく、日本の企業がオーナーを務める新球団が藤原の所属するチームです。
弱小球団に現れる有能な投手。一癖も二癖もあるチームメイトたちに、日本嫌いな監督。そして身勝手なオーナー。
そんな状態からチームが徐々に強くなっていく様子は読んでて胸が踊ります。
しかも試合のシーンは臨場感があって大興奮。
堂場さんの野球小説はとても面白い、という評判は以前から聞いていて期待していたのですが、その期待を裏切らない内容でした。
ただ、ひとこと言わせてもらうならば、良くも悪くも藤原の物語だったな、ということ。
個性的なチームメイトたちのエピソードや活躍をもっと盛り込んでいれば、更に面白くなったんじゃないかと思ってしまいました。
まあ、そこまで手広くやるとメインテーマがボケるから、という理由なんだとは思うんですが。
これだけの筆力ならば、2倍3倍の長さがあっても飽きずに読めそうなので、それがちょっと不完全燃焼な感じでしたね。
堂場さんの野球小説は他にも色々あるみたいなので、チェックしていこうと思います。