「今日から大学生かー。俺にも彼女できるかな」
「高校生では出来なかったことたくさんやりたいなー」
彼は今年から大学生になった橋田という男だ。
彼は高校時代、懸命に学問にはげみ、志望校に合格した。
性格は比較的明るいほうであり、友人も多かった。
顔はイケメンというほどではないが、そこそこ整ってはいた。でも、女の子とは縁がなかった。2人ほど、気に入った子に告白をしたことがあったが、結果には結びつかなかった。
彼が勉学に励めたのも、自分を振った相手に見返してやろうという反骨精神から生まれたものだった。
俺が大学に入学して2か月、同じテニスサークルにいた一つ年上の先輩に恋をした。
テニスが好きでサークルに入ったわけではないが、「彼女ができるよ」というポップと、ポップを持った美人な先輩にまんまと乗せられ、サークルを選択した。
自分もこんな人と付き合えるなら、どんなに幸せだろう。淡い期待を抱いていた。
サークルに入ってから知ったのだが、あのポップを持っていた美人さんは、モデルさんとして活動していて、ほとんどサークルには来ないらしい。幽霊部員という感じだ。
少しがっかりしたところもあったが、サークル活動は楽しかった。
俺が恋をした先輩はその美人さんではなく、サークルに入ってから知り合い、右も左もわからない俺によく世話をしてくれた人だった。
何度も接するたびに、その先輩に次第に惹かれてしまった。
サークルではよく飲み会が開かれた。飲み会の席でも先輩はよく話し相手になってくれた。
笑顔が素敵で、快活な女性だった。
話しているうちにどんどん好きになった。先輩もよく笑ってくれた。
サークル活動はもちろん、サークル活動以外にも同世代の仲間もたくさんでき、俺は憧れの大学生活を満喫していた。
勉強ももちろん、頑張った。彼は将来教員になりたいという希望があり、教職系の科目もよく学んだ。教授からも熱意があると評価されていた。
人生で初めての彼女もできた。震えるほどうれしかった。
いままでの先輩と後輩の関係も続けながら、新しく彼女として意識することが初めは困惑したが、先輩は不慣れな俺をいつもやさしく包み込んでくれた。彼女としてこの人を選んでよかったと心底感謝した。
彼女のかばんには、いつも一通の封筒が入っていた。あまり見かけない黒い封筒だった。
彼が大学に入ってから1年が経ったころ、彼も異世界に巻き込まれることになる。