<空海和尚の出現> 

 沖縄の金城久美子さんが私を呼び寄せた理由は二つ、一つは両親がボケて自分の生年月日が分からないので正確な生年月日を知りたいと言う事と、もう一つが本題の理由でした。それは「私に取り憑いて離れないこの傲慢な親父は一体誰なの?」という質問でした。「ソロン、この人は空海和尚じゃない?」と聞くと「うんうん」と答えました。手紙が沖縄から届いた瞬間に私自身は「もしかして」と思っていましたが、やっぱりこの短気な和尚が私を呼び寄せたのでした。実は空海和尚(菩薩界第9位)は一年前に私の所に降りて来たのですが(愛媛の道後温泉の前で)、私の受信能力が乏しく、肝心要の大事な呪文を聞き取る事ができなかったのです。側近の霊能者も空海本人に間違いが無いと言うのですが、言語発音の聞き取りは大変難しい技術であり誰も聞き取る事ができません。でも私は空海を尊敬していたので、兄貴と呼んで親しくしていました。和尚は非常に短気で気難しい方で、私が間違うと頭を殴るし耳を引っ張るんですね。一ヶ月間程空海は私の側に居ましたが、やがてどこかに行って姿を消してしまいました。「こりゃ駄目だ」と思ったのかも知れません。

 金城久美子さんはオペラ歌手であり、音の発声や聞き分けに関してはさすがプロでした。彼女の凄い所は、宇宙人だろうが霊魂体だろうが神様であろうがその言語音を正確に聞き分ける能力でした。私は彼女に呼ばれて直ぐに分かりました。和尚は彼女を介して私にある呪文をどうしても授けたかったのでした。無論、空海和尚とてその呪文が何の呪文であるのかは知らない様子、多分ビシュヌ神(アマテラス)が創造主に気が付かれない様に極秘裏に空海を遣わせたと私自身はそう思っていましたが、でも実際は和尚を遣わせたのは驚く事にセザナ本人だったのです。無論その呪文とは銀龍と金龍の合体呪文なのですが、我々が現場に赴かない限りは教えられない様子、私は別の呪文を幾つか伝授されて、また最後に久高島の「ノロ(タユ)」にご挨拶を済ませて沖縄を出ました。帰りの飛行機の中で「いよいよ決行する時が間近に迫って来た」という実感が込み上げて来ました。当時の私の頭の中には合体させる事しか浮かばなかった事が本音の魂胆をセザナに読まれずに済んだ好要因だったと思います。セザナ神はソロジン継承者を一日も早く内定して宇宙を閉じる作業に移りたかった様子でした。

 それから数日後、私は自身のマネージャー(彼女も霊能者だった)と松山祐子さんを連れ立って奈良の三輪山に登りました。彼女に拠れば頂上の岩に銀龍を閉じ込めている結界場があるので、それを呪文で打ち破れば銀龍は解放される筈だと言います。頂上に登ると、そこには明らかに神社の巫女とおぼしき綺麗な衣装を纏った女性が一人で座っていました。目がとても印象的な50歳代ぐらいの美しい女性でした。我々の一行を一瞥すると、何と彼女はおもむろに祝詞を挙げ始めたのでした。その声の透き通る様な美しさに驚いた我々は暫し茫然と立ち止まり聞き惚れていました。声が山頂に鳴り響いて辺りが浄化されて行くのが目に映るのです。「唄い終わるのを待とう」と言って、我々はその調べに酔っていました。唄声が止むとその女性は忽然と姿を消しており、三人ともビックリ。「あいつは神の遣いか」と納得せざるを得ませんでした。その後我々は三人で手を組み、私が伝授された呪文で結界を打ち破ると、激しい渦巻が山頂から吹き上がり、それは広島の方角に向かって飛び去って行きました。銀龍でした。私は携帯で沖縄の金城さんと連絡を取り、「今銀龍を解放したので合体呪文を教えて欲しい」と言うと、彼女の脳裏に声が響いて来るのか、呪文の言葉を我々に告げてくれました。「祐子、我々も急いで山を下りよう、新幹線で宮島に向かうんだ!!」。


次回に続く