自我対象とうつ うつがよくなる vol.11 | ヨーガ心理学

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  自我対象とうつ



 うつを軽減するために必要な対策の一つは、自我対象を自我から遠ざけることです。自我対象に執着しないようにし、距離をとって自分を観察できるようにします。そして、自我対象は自分らしいものではありますが、自分そのものではなく変化するものなので、そこに不安や怒りを感じるのは誤りであるという見方をしていきます。

 例えば、大手企業などに勤めていて、「〇〇会社の社員である」ということにプライドを持っている人の場合、自我対象である会社と自我が同一化していることになります。この自我同一化があるので、会社で良い成果が出せなかったり、何かトラブルを起こして会社を解雇されると、深刻な苦しみが起きるのです。「〇〇会社の社員である」という自分の立場を失うことは、自分の存在を失うことだからです。

 このように、自我と自我対象が同一化することは苦しみの原因となります。したがって、これらを切り離すこと、つまり、「〇〇会社の社員は自分の本質ではない」という見方をすることがまず最初の取り組みとなります。「〇〇会社の社員である」という自分はこれまでの経験上認識されたもので、本質的には機会に応じて失われるものだからです。それは入社した時点でその認識が生まれ、仮に何事もなく継続できたとしても、定年になれば〇〇会社の社員という肩書きが外れた自分と向き合うことになるからです。

 一方で、うつの原因となるなら、自我対象を全く持たなくても良いのではないかというと、そうではありません。ヨーガ心理学では、人は自我の本質として愛や慈悲の働きを持っており、社会の中で自分の具体的な役割を探して、その役割を通して自分なりの方法で世界と関わり、他者の幸福に貢献していくことが大切であると考えるからです。つまり、先ほどの例で言えば、〇〇会社の社員という役割を通して、世界や他者と関わり、その中で愛や慈悲を実現していくことがその人にとっての幸福にもつながります。反対に、その人が自分の人生の中心的な主題を見出せず、世界に対して具体的な接点を見出せないとき、その人はうつになります。

 以上の点をまとめると、人は矛盾した二つ観点を持っていることになります。それは、


⑴自我対象が傷ついたり失われるとうつになる

⑵自我対象を持って、自分の具体的な役割を通して世界や他者に貢献できないときうつになる


という点です。したがって、この両者の認識を持ちながら、自我対象に依存せずに自分の個別具体的な役割を果たしていくことが大切であり、そのために高度な自己理解が求められているのです。


 

 

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