よくやった!五所ちゃん! 2023.12.24昼『ひばり』(初日) | 猫はミュージカルの夢を見るか

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猫と劇団四季が大好きなオバサンの、猫との日々と観劇日記。
愛猫は2022.2.8にお空に還ってしまいました。
観劇日記はサボリ気味です…。
2023年春から、バラを育て始めました。

注意長文です注意





待ちに待った『ひばり』の初日。



母と2人で観てきました。


席は、1階上手ブロックのやや後方列の壁際。



キャストボード。↓


劇団創立70周年記念公演にふさわしい、贅沢なキャストです。実力も経験も充分に備えた役者さんが揃いました。


私が初めて「ひばり」を観たのは、2012年の公演でした。

言葉の洪水のようなセリフの量に圧倒され、それでも明瞭な音で言葉を伝えてくる役者さんたちの力に感動しました。

台本にある言葉は伝わって来たけれど、英仏百年戦争や宗教・信仰などについて多少なりとも理解していないと少し難しい内容かなと思いました。


で、11年ぶりに観た「ひばり」。

前回公演よりも、作品タイトルの意味がよく伝わって来たような気がします。

ジャンヌは、とういうか五所真理子ちゃんのジャンヌは、まさに"声高く歌いながら空高く舞い上がるひばり"でした。

「神様は美しいものしか作らない」「神様が聖女様たちの衣服をけちるはずがない」「ミカエル様がつかまえてくれているから馬から落ちない」など、無邪気に神様を信じるジャンヌのセリフから、彼女の純粋で深い信仰心を感じます。五所ちゃんは、今までやって来た役でも見せてくれた柔らかで幸せそうな笑顔(私は"マシュマロスマイル"と呼んでいます)で、無垢な心を持った少女をとてもうまく表現していました。

とにかく五所ジャンヌは笑顔が魅力的で、ボードリクールがすっかりまるめこまれるのも無理はないと思いました。兄との場面やラ・イールとの場面も楽しそうに笑っていて、とても幸せそうでした。

それとは反対に、異端審問官やコーションの尋問に追い込まれていくさまは、小さなひばりが人間の手にとらわれてじわじわと締め付けられていくように見えて、心が痛みました。

五所ちゃん、涙で顔をぐちゃぐちゃにしての大熱演。五所ちゃんの全身全霊の演技にも心を動かされました。


一度はコーションの説得に折れて、火刑をまぬがれることを選ぶジャンヌ。


でも、牢獄の中でひばりは再び声高らかに声を上げるのです。


「嫌!」と。


みじめに生きながらえることよりも、自分の信念を貫いて火刑台に上ることを選んだひばりは、物語のラストを飾る戴冠式でまぶしいほどの輝きを放っていました。


前回の公演では、ジャンヌを演じる野村玲子さんの"女優としての技量"に圧倒されましたが、ジャンヌという少女自体には何の感情もわきませんでした。

でも、五所ちゃんのジャンヌはー私が彼女のファンだという贔屓目もあるのかもしれませんがーとても愛しかったです。

大人たちをやりこめる姿に胸のすく思いをして、地べたを這うように苦悩する姿に心が痛みました。

ジャンヌはこんなに魅力的な少女だったのだと、今更ながら気付かされました。


前回公演は、ジャンヌを演じる野村玲子という女優をすごいと思った。


今回は、五所真理子ちゃんが演じるジャンヌをすごいと思った。


幕切れを迎え、暗転した舞台を見つめながら、私は胸に熱いものがこみあげてくるのを感じました。

カテコで最後に登場してお辞儀した五所ちゃんに、立ち上がって「よくやった!」と声をかけたい気分でした(実際には、恥ずかしくてできなかったけどあせる気が小さいな私)。

声は上げられなかったけど、スタンディングして力いっぱい拍手しました。

ジャンヌを演じて、五所ちゃんが女優としてまた成長したのをひしひしと感じました。

野村さんの降板でシングルキャストになり、初めて挑む役で初日を迎えるプレッシャーは、私の想像では及ばないほど大きかったと思います。

それを乗り越え、五所ちゃんはジャンヌのように空高く舞い上がりました。

五所ちゃんを初めて好きになったのは、2008年の『キャッツ』五反田公演。天使のように無邪気なシラバブに心奪われ、それからずっと五所ちゃんを応援しています。


ずっと応援して来た甲斐があったわ〜ほんわか


本当に、よくやった。


おめでとうクラッカー


カテコではける時に、前を歩くシャルル7世のマントの裾を踏まないように、ちょっとおたおたして去っていく五所ちゃんがかわいかったです目がハート


膨大なセリフの量とほぼ出ずっぱりで、一公演で五所ちゃんが使うエネルギーは相当なものだと思います。それでマチネ・ソワレ2公演ある日もあるんだから、倒れないか心配です。

最後まで頑張ってほしいな。私は応援することしかできないけど。



さて、前回公演に引き続いてラ・イール役で出演の、私の最愛の人・グヨルさん(金久烈さん)。

ラ・イールは豪快で粗野、神様に「くそー、神様のヤツ!」とか言ってしまうおバカさんですが、心優しい男。

前回公演でも思ったのですが、グヨルさんにピッタリなキャラクターだと思います。同じ粗野な男でも、グヨルさんが舞浜で演じている自惚れ屋とはまったく違っています。でも、どちらもチャーミングなのは、グヨルさん自身の持ち味です目がハート

ジャンヌはラ・イールが大好きで、ラ・イールもジャンヌを慕っています。

今回は、ジャンヌとラ・イールが私の大好きな人たちビックリマーク

ジャンヌとラ・イールの場面は、私にとって至福のひとときでしたキューン飛び出すハート

小柄なジャンヌが、でっかいラ・イールにぴとっと抱きついちゃう目がハート 萌えービックリマーク笑



四季の公式サイトの開幕レポにこの場面の画像を使ってくれた人に、感謝花花花

プログラムのお稽古写真にもこんなのがあって、ニヤニヤしちゃいました。



ジャンヌとラ・イールは朝の遠乗りに出かけますが、乗るのは想像上の馬。馬上で揺れる様子が五所ちゃんもグヨルさんもとても表現力豊かで、さすがさすがダンスの得意な俳優さんたちだと思いました。グヨルさんは敵兵を見つけて剣を構える姿もカッコよかった目がハート



『ひばり』の登場人物たちは、自分の出番ではない場面もほとんど舞台にいて、ジャンヌの裁判を傍聴しています。

ラ・イールは上手に座っているのですが、私の席の前の列に座高の高い男性が座っていて、バッチリ視界を遮られました。グヨルさんがどんな表情をしているのか、まったく見えませんでした。同じく上手にいるジャンヌの兄役の戸高圭介くん(私のヒュッゲラブラブ)とウォーリック伯役の阿久津陽一郎さんも見えなかった泣

どんな人が前に座るかはチケットを取る時にはわからないから、運なのですが…かなりのストレスでした汗



控えている時はまったく見えなかったけど、戸高くんのジャンヌの兄はかわいかったですラブラブ ジャンヌと追いかけっこするのがとてもほほえましかったほんわか

戸高くん、シノンの宮廷の場面では宮廷の人も演じていました。ぞろっと丈の長い衣装が似合ってました。



宮田愛ちゃんは、期待通りのアニエスでした。

"女"を武器に王太子をてのひらにのせて転がし、逞しく生きているアニエス。ジャンヌとは真逆な女性を、愛ちゃんはとても魅力的に演じていました。

中世のドレスもよく似合っていて素敵でした目がハート



今回の公演、男性陣は声が大きくて美声、セリフも明瞭に聞こえる俳優さんが多くて、長いセリフでも心地よく耳に入って来ました。耳の遠い母も「男の人たちのセリフは聞き取りやすかった」と言っていました。

特に、ボードリクール役の勅使瓦武志さんはまさに"立板に水"でした。抑揚もあって、ジャンヌとの会話にどんどん引き込まれました。

勅使瓦さんが演じていた『サウンド・オブ・ミュージック』のマックスを思い出しました。勅使瓦さん、マックスのしゃべり方もすごく魅力的でした。マックスはお調子者のおじさんで、勅使瓦さんのセリフを聞いていると、周りの人がうっかりのせられちゃうのも無理はないなと思えました。

ボードリクールはジャンヌにのせられてしまう男ですが、話しているうちにどんどん上機嫌になっていくのが手に取るようにわかりました。そこにボードリクールの人の良さも見えて来て、勅使瓦さんの芝居の巧さに痺れました。

勅使瓦さん、最初はジャンヌの父役にキャスティングされていました。でも、稽古の途中でもともとボードリクールを演じるはずだった牧野公昭さんが降板して、勅使瓦さんがボードリクールに。最初から稽古に参加していたとはいえ、大変だったろうなあ。

勅使瓦さんがボードリクールになったので、ジャンヌの父役は初めからキャスト候補に入っていなかった林和男さんに。急遽出演が決まったのでしょうね。林さんも大変だったでしょう。

それにしても、牧野さんのボードリクールも観てみたかったなあ。牧野さんの降板については、降板そのものについても理由についても何も発表されていません。

何があったんだろう。心配です。

またアグラバーで元気に悪人笑いをしてくれるといいのですが。



終演後は非常に満足して劇場を出ました。

でも、劇場を出てすぐのところで立ち話をしている中年女性2人組の前を通りかかった時、不愉快な言葉を聞いてしまいました。


「チケット戻す人、多いんじゃない?」


なんて失礼な。

今回の公演の出来が悪いってこと?

五所ちゃんのジャンヌではダメだってこと?


その時はものすごく腹が立ったのですが、実際、公式サイトに戻りチケットがちらほら出はじめました。開幕前は完売していたのに。×印が並んでいた公演スケジュールは、いまやほとんどの公演に下向きの三角形がついています。

野村さんのジャンヌを観たかった人がチケットを戻しているのだと思いますが、五所ちゃんのジャンヌを一度観てほしいです。

五所ちゃんを観て手放している人もいるかもしれませんが、「ジャンヌは野村玲子がやらなければ」という固定観念を捨てて、もう一度観てほしいと思います。

野村さんのあとを受け継ぐ女優は、育ってきているのです。



四季の会先行予約で取ったチケットは6公演分。

あと5公演観る予定でしたが、さっき、公式にサイドブロックだけどかなり前方列の席が1枚戻って来ているのを発見して、ポチッとしました。12/30の公演です。1人で行って来ます。

『ひばり』初日が2023年の観劇納めになるはずでしたが、30日が観劇納めになります。



あー、その前にあと2日、仕事を頑張らないといけません泣




余談ですが、グヨルさんにクリスマスプレゼントでこんなものをあげました。



ガストンのフィギュアのメガネスタンドです。

グヨルさんが『ひばり』のお稽古記事の画像でメガネをかけていたので、使ってもらえるかなと思ってプレゼントしました。

これ、東京ディズニーランドの『美女と野獣』エリアのお土産屋さんで売ってるみたいですが、今はパークの中だけで売っているお土産をTDRの公式サイトで買えるんですね。便利になったもんだ。

グヨルさん、喜んでくれたかな。