腹筋5回日記 -77ページ目

腹筋5回日記

毎日腹筋5回だけ。

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腹筋5回は朝やりました。

ジャイアンと海へ。
今日はグリップを交換した。グリップシフト用は、もう短かすぎるから。

ジャイアンは不機嫌だ。
グリップがキャノンデール製だから。
「貧乏臭いです。グリップだけ高級品なんて」
「1200円だよ」
「お金がないからグリップだけ頑張ったって、人は思いますよ」
「思わせておけばいいさ」
不機嫌ながらも、ジャイアンの走りは軽快そのものだった。驚くほど軽くなった。

「よし、海行くぞ。快気祝いだ」
「海って、また葛西の公園でしょ。海って言うかな、普通」
僕は錆太郎を思い出し、少し腹が立った。そんな資格はないのだけど。

途中、キャノンデールのロードバイクに抜かれた。ウェアまで全身、キャノンデールの男だった。

「さすがにハンドメイド・イン・アメリカは速いですね。台湾製とは違います」
「それはお前の母国に失礼だろ。それにお前は速く走るためのバイクじゃない」

公園に着いた。空気が透き通っていた。葛西から富士山が見えたのは初めてだった。

「いつか高級自転車を買えるといいですね」
「高い自転車が高級な訳じゃない。お前だって高級だ。ついでに安い。最高じゃないか」
「そういうモノに、よびおもなりたい?」
「なりたいさ」

僕はウソをついたような気もするし、凄く本当のことを言った気もする。

「また来れてよかった」
ジャイアンは小さな声で言った。
鈍感な僕は、ジャイアンがずっと不安だったことに、今ごろ気づいた。
腹筋5回やりました。

友達の力を借りて悪と闘う夢を見た。
一旦は金を払うが腹が立ってきた。

幹部はどいつだ、なんて尋ねた。
お前が一番偉いのか、見えないな、と挑発した。
No.2にお前の方が立派だと言って、仲間割れを誘った。

友達に財布を預けた。個人情報が溢れているから。

スナップを効かせて、手の甲を敵の目元に叩きつけた。

睡眠は短くて浅かったが、僕は満足した。
きっと全て必要な悪夢だ。

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腹筋5回やりました。今朝。

ジャイアンがまた壊れた。

昨日、自転車店で、スペーサーが薄すぎると指摘された。
スペーサーが手で回せる。これ以上閉められない。つまりスペーサーが足りてない、危険な状態だ、と。

そこで今日、前回のステム交換時に外した余剰スペーサーを追加して、アーレンキーで締め上げた。締めて締めて締め上げた。
すると、パン!と大きな音がしてネジがスカスカ空回りし始めた。キャップが破損していた。
雨のぱらつく、寒い午後だった。

同じ自転車店で尋ねると、キャップは締めすぎると壊れるように出来ているらしい。
スペーサーが回らなくなる程度、アーレンキーを縦にしてネジが回らなくなる程度で丁度いいらしい。
先にキャップのネジを締め、後でステムを締めることも教わった。キャップは525円だった。

よい勉強になった。安いもんだ。素人作業は怖い。だが決して、やめてはいけない。

「僕はまた壊れたね」
ジャイアンは不機嫌だった。
「純正パーツがまた減った。僕はいつまで僕なんだろう。」
「そんなことを気にするなんて、お前はまだまだモノだね。」
ジャイアンは不意をつかれたように振り返り、またすぐに前を向いた。
そして前を見つめたまま、少し嬉しそうに、恥ずかしそうに顔をしかめた。
それを見て、僕は申し訳ない気持ちになった。
それはこの人生で、何度も何度も感じてきた種類の罪悪感だった。