腹筋5回は朝やりました。
ジャイアンと海へ。
今日はグリップを交換した。グリップシフト用は、もう短かすぎるから。
ジャイアンは不機嫌だ。
グリップがキャノンデール製だから。
「貧乏臭いです。グリップだけ高級品なんて」
「1200円だよ」
「お金がないからグリップだけ頑張ったって、人は思いますよ」
「思わせておけばいいさ」
不機嫌ながらも、ジャイアンの走りは軽快そのものだった。驚くほど軽くなった。
「よし、海行くぞ。快気祝いだ」
「海って、また葛西の公園でしょ。海って言うかな、普通」
僕は錆太郎を思い出し、少し腹が立った。そんな資格はないのだけど。
途中、キャノンデールのロードバイクに抜かれた。ウェアまで全身、キャノンデールの男だった。
「さすがにハンドメイド・イン・アメリカは速いですね。台湾製とは違います」
「それはお前の母国に失礼だろ。それにお前は速く走るためのバイクじゃない」
公園に着いた。空気が透き通っていた。葛西から富士山が見えたのは初めてだった。
「いつか高級自転車を買えるといいですね」
「高い自転車が高級な訳じゃない。お前だって高級だ。ついでに安い。最高じゃないか」
「そういうモノに、よびおもなりたい?」
「なりたいさ」
僕はウソをついたような気もするし、凄く本当のことを言った気もする。
「また来れてよかった」
ジャイアンは小さな声で言った。
鈍感な僕は、ジャイアンがずっと不安だったことに、今ごろ気づいた。

