ジャイアンの記憶 | 腹筋5回日記

腹筋5回日記

毎日腹筋5回だけ。

腹筋5回やりました。

「クリスマスですね」
派手なイルミネーションの家を見て、ジャイアンが言った。

「欲しいモノがあります」
「お、言ってみな」
僕は少しワクワクした。
「キカイのカラダ」
と、ジャイアンは言った。

僕は思わずブレーキをかけていた。後輪を滑らせてジャイアンは止まった。
「あの・・・」
ジャイアンは言った。
「ジョークなんですけど、もちろん」

僕らはまた走り出した。
「それって銀河鉄道999だろ?」
「はい」
「お前、何年生まれだっけ?」
「Made in Taiwan, 2009 (two thousand nine) 」
「だよな」
「台湾の工場で再放送を観ました」

ジャイアンの身体は空洞のパイプ。平たいギヤと無個性なチェーン。
この身体のどこに、ジャイアンの記憶があるのだろう。どこに心があるのだろう。

「車は人の顔に似てますからね。中身も詰まってるし。ギジンカしやすいですよね」
ギジンカ?
「自転車は愛されにくいです」

ジャイアンは機械の身体で、僕の心を読む。僕はときどき、心が空洞のパイプになる。ギジンカって何だろう。僕はそれを思い出さない。