白い鳥になった少女 | 夜明けの麻

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こんにちわ、麻糸産みの、はすかのページです。 
 
麻のこと、宇宙のこと、薬草のこと。神聖幾何学や神社の話もしていきます♪
あなたのスピリチュアルな確信を、そっと後押しできたら、幸いです。

メリークリスマス!

私からのクリスマスプレゼントは 「白い鳥になった少女」 の話です。

この話が、好きで、好きで・・・・
いつもブログを読んでくれているあなたに贈ります


小さい頃から意地悪な、美しい少女、インゲ。

年頃になり村から町に奉公に出、
やさしいおばさんが焼いてくれた、母に渡すパンを持って久しぶりに村へ戻ります。

新しい服で、新しい靴をはいて。

道中、「きれいな娘さんだね。」と口々にほめられながら歩いていくと、
貧しい格好をした自分の母親を見つけます。

みすぼらしい格好をした女性の娘だと思われたくないインゲは、
そのまま帰ってしまおうと、もと来た道を戻り始めます。

ぬかるみで新しい靴を汚したくないインゲは・・・
母に渡すはずだった、おばさんが焼いてくれたパンをぬかるみに敷いて渡ろうとします。

 
 

パン を踏みつけたまま、沼の底に固定されたインゲ。

インゲが小さい頃羽をむしった飛べないハエがインゲの顔を歩き回り、
地上の誰も彼も、幼い子どもたちまでが、
意地悪な沼の底のインゲのうわさ話をしています。

そう、

私は盗んだわけでも、人を殺したわけでもない。
いったい、私の何が悪いの?

ただ、パンを踏んだだけで!!

 
 

ただ一人、インゲがかわいそうだと泣いた少女の涙が・・・

インゲの心の奥底まで射抜いたのです。


そして、インゲは灰色の鳥になり、
冬の飢えた仲間の鳥たちにパンくずを分け与えます。

自分が踏みつけたパンの分を返すまで。

そうやって神さまにパンを返し

いつの日か、分け与えたパンくずは踏んだパンと同じ量になる


その時には、灰色の鳥は、白くまばゆい海つばめとなり
人々は見るのだ

海つばめが、太陽に向かって飛んでいくのを・・・

出典
萩尾望都「アメリカン・パイ」 より「白い鳥になった少女」

原作ハンス・クリスチャン・アンデルセン「海つばめ」より
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