先日、奈良市内にある奈良県人権センターで演劇を観賞しました。
劇団タルオルム『島のおっちゃん』
通常、演劇というと、客席よりも一段舞台の上で行われますが、この舞台はマダン劇という形式。マダンとは韓国語で広場という意味で、ホールの中央で観客と同じ、目線で行う演劇です。客席との一体感が半端ではありませんでした
物語は岡山県の小さな島の隔離されたような療養所が主舞台です。そこで暮らす在日コリアンを含むハンセン病回復者、そして療養所を訪問した少女との30年以上にわたる交流を描いた演劇です
「劇団タルオルム」は在日コリアンと日本人で作る劇団で、代表の金民樹(キムミンス)氏の体験を基に脚本を執筆演出されています。描かれるのは、ハンセン病という病と社会の偏見、そして在日コリアンという「二重の差別」と闘った人たちの壮絶な人生です。
彼女はまだお母さんのお腹にいる頃から、長島愛生園に通っていたのです。そこには行くといつも大歓迎してくれる親戚のようなおっちゃんがいたのです。生意気盛りだった彼女は、おっちゃんの言動に文句を言うことがありました。でも何か言うと大喜びで口論に付き合ってくれたのです。そんなおっちゃんたちと、彼女達や訪問客との交流を軸に展開する演劇です。
衝撃を受けました。ハンセン病という病が、かつては不治の病、らい病などと呼ばれいました。どれだけすさまじい偏見と差別にさらされ、本土との交流も閉ざされていました。男性患者にも女性患者にも子供が産めないように不妊手術をさせるというあり合えない行為。死後も遺骨の引き取り手はなき島の納骨堂で眠るしかなかったのでした。
世の中には、こんな理不尽な差別を受けて暮らした人がいるということに衝撃を受けるとともに、自分の生き方を振り返る機会になりました。理不尽な差別のもととなった「らい予防法」は1996年に廃止されましたが、それからも苦難の道は続いており、早期の解消が求められます。
また演劇というものはアクションではなく、役柄との共感と対話、そして客席との感動の共有だということをあらためて感じることができました。
素晴らしい舞台でした。
演劇というものを考える良い機会になりました。機会があればまた拝見したい劇です。

