地下鉄工事で発見された東萊邑城落城時の惨状 | あなたの知らない韓国 ー歴史、文化、旅ー

あなたの知らない韓国 ー歴史、文化、旅ー

歴史や文化などを中心に、日本・韓国や東アジアに
またがる話題を掘り下げながら提供したいと思います。

歴史、文化、韓国語、日本語

 

 

 皆さんこんにちは。前回は東萊邑城と文禄の役の状況についてお知らせしました。

 

 今回はそれをさらに生々しく物語る資料についてお知らせします

 

  東萊邑城陥落時の惨状を示すような遺構が釜山地下鉄2号線建設工事の折、寿安駅予定地で発見されました。この場所は東莱邑城の南端にあたり、邑城の南側の堀の一部と石垣が発見されました。堀は幅5m、高さ1.7〜2.5mで、ここから多量の武器類と人骨などが発見されたのです。人骨は老若男女さまざま、そして大半の人骨には鉄砲で頭を打たれたり、刀で首を切られたりした痕跡が見つかっています。人骨は落城時の犠牲者と思われ、ここで城内の人々に降りかかった惨事を想像させるに十分なものです。
 

 

 

 

     現在、寿安駅構内には東莱邑城壬辰倭乱歴史館が開設されており、発掘調査で出土した堀の露出展示とともに、出土した武器類の展示、映像による解説なども行われています。屋内ですので天候に関係なく見学できます。

 

 

 

 

   寿安駅を降りると、まずは改札口の手前で東萊邑城の堀の断面展示が迎えてくれます。

 

 

 

 

    層位に沿って土層表面に丁寧に引かれた線から、この堀が埋没していく様子が伺えます。

 

 

 

 

    展示室に中に入ると右手に「戰則戰矣 不戰則假道」と小西行長軍が放った言葉、左手に「戰死易 假道難」と朝鮮側の言葉が記されています。

 

 

 

 

  当時の東萊邑城の復元模型です。周囲が堀と城壁に囲まれている様子が見られます。

 

 

 

 

   壬辰倭乱の経緯や釜山地域での倭乱の実態が記されています。

 

 

 

 

   調査で出土した朝鮮側が使用した武器です。当時の軍事装備の状況を知らせる重要な資料です。

 

 

 

   

   鉄の鏃などが展示されています。これらは当然のことながら、矢先に装着されていたものです。

 

 

 

 

   甲冑などの武具も展示されています。

 

 

 

 

    堀の中の遺物出土状況の復元展示です。木材や建築部材に混じって頭蓋骨もあります。落城の際に斬首された人の首でしょうか。無念さが伝わってくるようですね。

 

 

 

 

    検出された石垣と堀の状況です。ここから武器以外にも多量の人骨も出土したのですね。落城時に数多くの人々が殺された凄惨な場面が重い浮かぶようで実に痛ましいです。

 

 

    太古の昔より、朝鮮半島にあった国々は間違いなく隣国でした。両者互いに思惑の違いなどがあったとしても、仲良く共生したいものですね。そんなことをしみじみ考えさせてくれる施設でした。