(注)このブログの最初に、法隆寺物語と題して、建物や仏像などを98回にわたって連載し、法隆寺をいろんな面から見てきましたが、瓦のことには触れてきませんでした。最近お客さんから瓦に関する質問が増えてきましたので、遅ればせながらとりあげました。
法隆寺にはいろいろの瓦がありますが、ここでは、主に飾りの役割を果たしている瓦をとりあげます。大別すると、鬼瓦と留蓋(とめぶた)に分けられます。
(1) 鬼瓦
屋根の大棟(おおむね)の端や降棟(くだりむね)の先端を止める役割をもつ。顔を鬼にするのは魔よけの意味。
鬼面をよくみると口を開いたものと閉じたものとの二通りあり、閉じた面の鬼は雄鬼、開いたものは雌鬼といわれています。つまり鬼にも雌雄があって、それは口で区別しますが、分かりにくければ,角の有無や面相が厳しいかどうかで判断します。
上大棟の端と降棟の端の部分(南大門の鬼瓦)
(2) 留蓋(とめぶた)
巴蓋とも隅蓋をもいわれ、屋根の四隅の半球状の瓦に飾り物を付けたもの。
鬼瓦にくらべればはるかに小さい。もともとは隅で丸瓦が分かれる部分に雨水が入るのを防ぐ役目だったが、次第に装飾的な意味が重視されるようになったといわれます。
右隅の三つにわかれる部分に丸い蓋をして、菊の花模様をのせている
さまざまな鬼瓦
人間模様の鬼
鬼の面が菊花になっているのが珍しい(中宮寺)
さまざまな留蓋
NHK特集で注目を浴びた亀の留蓋(左右で一対、右が逆光ですみません)
一対ではありません、別の建物のものです。
以下同じ。
これは一対で、左が犬で右が兎ですが、
今昔物語の説話から採っています
右が単なるお椀だけ、初期はこれだけだったが次第に装飾が加えられた。
いくつかの瓦をしめしましたが、どれがどこにあるかは、読者のみなさんが法隆寺に来られたら捜して下さい。またなんのかたちかも考えて下さい。
わからなければ、ご案内します。
まだまだ瓦の話がありますので、ときどき書きます。