また仏教ガイドに戻ります。
迷いや煩悩(ぼんのう)をとりはらい、観る人に緊張と快感をあたえることが仏師の願いです。
慈悲あふれる仏のこころ、優しさに満ちた心を持ち、悟りの世界へと導く尊像、これぞ真の仏像であり芸術であると仏師は主張しています。
菩薩顔の静かな仏にたいして、憤怒相の明王は人を脅かす表情に武具を持っています。
明王は人の煩悩に働きかけるよう顔も体も、より恐ろしくより不格好にみせて、戒めの工夫をしています。仏師の理想とする表現めざしてそれぞれに精魂こめて仏像を製作しているのです。
しかし、仏師は時代の影響や仏教に対する考えの影響を強く受け、それが仏像に強く反映されます。時代とともに変わる仏像の表情、これは次回以降に書きます。