あみ子の母
お父さんと再婚したお母さん
あみ子を、懸命に愛そうとしていました
だけどあみ子にとって何でもない行動は
お母さんにとっては耐え難い言動でした
それは例えば
あみ子の誕生日
お母さんが用意したご馳走やロウソクに火の灯った誕生ケーキを、見向きもしないあみ子
「待て、あみ子ケーキの火」と言う父から、プレゼントをひったくり、包装紙を破りプレゼントのトランシーバーに大はしゃぎ
もう1つのプレゼントのカメラを、いきなりあみ子は家族に向けます
「ちょっと待ってね」と言って鏡を手に取り、前髪を整えていたお母さん
お構いなしに、いきなりシャッターを切ったあみ子。「ちょっと待ってって言ったよね⁉」つぶやきお母さんは怒ってしまいました
誕生日のご馳走を残して、クッキーのチョコレートをペチャペチャ舐め取る事に夢中な、あみ子
手作り唐揚げの皿を手に持つお母さんに
「もう食べれん、シッシッ」
と言い、手で払う仕草をするあみ子
お腹が大きく臨月近い妊婦であるお母さんにとって、沢山のご馳走作り特に、揚げ物(唐揚げ)は匂いも手間も、調理自体が拷問
黙って顔を歪めたお母さんの表情に、私は胸がギューッと締め付けられました
異変
お腹がひどく痛くなり、出血をしながら病院に運ばれたお母さん、入院しました
しばらくしてお父さんとお母さんが帰ってきましたが、赤ちゃんはいませんでした
死産でした
少し元気になったお母さんは、習字教室をまた始めることにしました
悲劇の始まり
あみ子は字がうまいノリ君に、立て札に字を書いてもらおうとします
手さげから出した、土だらけの立て札は人の畑に立ててあったもの
「よその家のものじゃないか」とノリ君は怒りますがあみ子は「書いて」としつこく聞きません。結局引き受ける以外なかったノリ君
あみ子はノリ君に書いてもらった立て札を持って家に帰りました
壊れたお母さん
庭の金魚のお墓の隣に作った立て札付きの
「弟のお墓」
を、あみ子は手を引いてお母さんに見せますが見るや否や、お母さんは大声でわーわー泣き叫びながらうずくまりました
何事かと、隣の家の2階から覗く隣人
騒ぎに驚いたお兄ちゃんが駆け寄ります
帰って来たお父さんも慌てて駆けつけ、お母さんをだき抱えて家に連れて行きました
お母さんはそのまま、あみ子を見ようとはせず、布団に寝たきりになりました
うつ病でした
あみ子には、お母さんが泣いた理由が分かりませんでしたが、翌日ノリ君が「お前のせいで叱られた」とあみ子のお腹を蹴りました
お兄ちゃんも壊れた
その出来事から、お兄ちゃんはタバコを吸うようになり、家に帰らなくなり、不良グループとつるむようになり、退学になりました
元気をなくしたお母さんからお金をとるようになり、母は書道教室をやめてしまいました
ノリ君まで壊れた
変わり者のあみ子は学校でいじめられ
家では、ほっとかれ風呂に入らず、頭はボサボサ、ニオう(臭い、風呂入れと言われる)
ノリ君にしか興味がないけど、実は学習障害のようで、ノリ君の苗字も読めません
ある日あみ子は、保健室に「休ませて下さい」と青白い顔で来たノリ君に対して
無理にクッキーを食べさせようとしたり
「好きじゃ!好きじゃ!」
といきなり、ストーカーのように迫ります
具合が悪く、今にも倒れそうなノリ君
あみ子の顔を殴りつけ保健室から逃げます
あみ子は殴られて、鼻の骨を折りましたがノリ君に殴られたとは誰にも言ってません
彼にとってあみ子は脅威で迷惑な存在でした
声をかけるクラスメイト
あみ子はそのクラスメイトのことを、気にもしていなくて、名前すら知りませんでした
しかし少年は、あみ子の母の書道教室の生徒だったし小学校から同じクラスでした
あみ子に色々質問してくるが、1つとして会話にはならない。噛み合わない
しかし「お前変な所が何億個もあるぞ」と言った少年のその言葉には反応しました
あみ子は「何が変か1つ目から教えてくれん?」と言いました
あー、あみ子は、自身が生きにくいことすら認識出来ていないのだなと思っていました
でも、こんな質問が出るとは、心が成長し始めたのかと、光が見えた気がしました(感想)
「俺だけの秘密じゃ、ナイショじゃ」と
あみ子の変な所を少年は言いませんでした
ラスト
お父さんがあみ子を、自分の実家の母親(あみ子の祖母)に預け、お父さんは自宅へ帰宅
「お母さんは料理も作らんけ、離婚するとやろ?離婚するとやろ?」とお母さんの寝室に届く程の大声で騒いでいた、いつかのあみ子
畳を拳で叩き、あみ子を無視していたお父さん。離婚ではなくあみ子と別れたのでした
うーん、今村夏子さんのデビュー小説(原作)で、もう少しあみ子の描写を読みたいかな
観ていてあまりのしんどさに、ため息しか出なかった。そう言えば、しんどくてため息ばっかりついた作品は直近は「空白」でした。