無庵日録 (1007) 秋の雑木林 | 日々新面目あるへし

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ブログを続ける指針に、会津八一の書「学規」に学びたい。
 一、この生を深く愛すへし
 一、かえりみて己を知るへし
 一、学藝を以って性を養うへし
 一、日々新面目あるへし

2023/11/24

 高卒後14年勤めたR社からK社へ転職その2年後にウイルス性肝炎に罹り5ヶ月も入院した。有効治療がなく慢性肝炎で退院、15年後にインターフェロン治療で完治するまで禁酒生活で過ごした経験がある。

 

 慢性肝炎に治療法はなくウォーキングを続けた。大阪の長居植物園や京都・奈良・神戸の植物園へよく出かけた。長居植物園のひと気ない雑木林でこんな短歌もどきを詠んだ日を覚えている。60年前に詠んだ秋の雑木林で何を思っていたことだろう。

 

   〇 おちばふむ ぞうきばやしの ひだまりや

           かれはのすがた いのちうるわし

 

 後年短歌は上の句が叙事詩、下の句が抒情詩と学んだ。思えばこの短歌は一応そう詠んでいる。歳を重ねたら短歌を学びたいと思った事もあるが今ではそれもかなわない。秋には叙事詩のつもりでこんな俳句を詠んだことを思いだす。

 

   〇 萩むらを 分けて詣でし 白毫寺

 

 自分にはとても好きな短歌がある。會津八一「南京新唱」に「歌殿の救世観音に」と題され歌である。吉野秀雄はこれを作者の絶唱の一つとして取り上げている。短歌とは何と心を打つものであろうかと思えてならない。

 

   〇 あめつちに われひとりゐて たつごとき

            このさびしさを きみはほほゑむ