いつも遠方より来店いただいていますメルセデスベンツE220d(S213)オールテレイン。
今回は車両画像が無かった為、車両画像は前回入庫時のものです。
ブレーキ周りのメンテナンス、NoxとAdblueの撤廃の他、極低温時に不具合を抱えているようでそちらの修理を承りました。
まずはブレーキ周り。
ブレーキパッドを低ダストタイプへの交換をご希望。
今回はATE社製を選択、ATE(アーテ)というと聞き馴染みが無いかもしれませんが、ドイツで100年以上続くブレーキシステム専門メーカーです。
ブレーキフルードを圧送交換。
エンジンオイル、この樹脂ドレインを再利用する猛者もいるとか。
SOD-1+を添加。
極低温時不具合調査の為、入庫時のフォルトチェックを行っておきます。
P061B800、あまり見ないフォルトが入っています。
ユーザー曰く、外気温3℃以下かつエンジン冷間時のみに不具合が発生し、症状はAT変速不良とエンジン回転数制限が起きるとの事。
条件がそろっている時は100%発生し、それ以外では100%発生しないとの様です。
確認しようにもうちの辺りはかなり暖かく、3℃以下になるのは稀です。
ディーラーさんに持ち込むもあまり聞いてくれなかった様子。
外気温が下がらず確認出来ないので、心当たりを探るも不明。
とりあえずECMをリプロでもしてみるか、と思ったら・・・おい?
ぶっとんだご様子。
お知恵を拝借しながら、なんとかリカバリ成功。
とりあえずNoxとAdblueの撤廃をインストールを。
老眼でこんな細い端子に繋ぐのは厳しい。
篠塚氏に教えてもらったハーネス、めっちゃ便利。
触っちゃダメな雰囲気が漂っていますが、この奥に少し御用が。
ここまで完了して、グッドタイミングで早朝冷える予報があったので試走。
カメラを持って出なかったので画像無しですが、不具合発生。
エンジン回転上がらずギア固定、なにかしらのフェールセーフが動作してる感じ。
さてここから沼りました・・・あーでもないこーでもない・・・。
国内では事例が見当たらず、同車種に乗っているユーザー様に聞くも特に不具合は無いとの事。
海外のフォーラムで少し手がかりを見つけましたが、対策までは無し。
しかも外気温3℃以下にならないと試走できない。
温暖地域な上に今年は暖冬、3℃以下を待っている間に春が来そう・・・。
極低温時というきっちり条件が決まっているので、ECMそのものやハーネス周りのハード的なトラブルでは無いと思いますが、やれることはやってみるかで中古ECMでのクローン作製に挑戦。
結果NG。。。中古ECM安くないです。。。
また数日あーだこーだと・・・お世話になっている業者さんとの何気ない会話の中でひらめきが。それ試してみましょうとなりまして、その業者さんのお力もお借りしてECM再構築。
これで試走してみたいですが天気予報で外気温3℃以下は当分なし。
さてどうするか。
外気温センサーのサーミスタ、温度によって抵抗値が変化するのでそれを処理して外気温を表示させています。
基準になる抵抗値を測る、外気温12℃くらいで3.3kΩ。
似たようなレンジの可変抵抗を用意する。
何屋や言うて。
外気温センサーを外して可変抵抗を繋ぐ。
工場内は約12℃。
可変抵抗を回す。
どや。
とりあえず車両に外気温は3℃以下ですよと認識させる事は成功。
この状態で試走、不具合発生せず、一安心。
ECMは外気温以外にも温度を含めて色々な情報を集めて演算しているので、外気温だけ化かしても不安は残るので完成とはなりません。
ここから待つ事数日、早朝気温が下がる予報が出たので5時半出勤して試走。
外気温0℃、水温冷間、絶好調!!!
通常出勤する時間には5℃くらいになってたので、早起きしたかいがありました。