新・山本二三展 | 散策日記Ⅰ

散策日記Ⅰ

美術館&博物館で開催された展覧会の記録、それにまつわる散策記です。

既に会期は終わっていますが…。あさご芸術の森美術館で見た「新・山本二三にぞう展」を振り返ります。

 

 

まず始めに、山本二三のプロフィールです。以下の文章は展覧会の公式サイトを参考にしました。

 

1953年6月27日生まれ。長崎県五島市出身。

 

 

子供の頃から絵が得意だった山本二三は、高校で建築を学び、東京の美術系専門学校在学中からアニメーションの美術スタジオで働き始めました。

 

 

宮崎駿監督の初演出テレビシリーズ『未来少年コナン(1978)』で自身初の美術監督を務めます。

 

 

以降、『天空の城ラピュタ(1986)』、『火垂るの墓(1988)』、『もののけ姫(1997)』など、美術監督として数々の名作に携わりました。

 

 

2006年、アニメーション映画『時をかける少女』で第12回AMD Award ’06大賞/総務大臣賞を美術監督として受賞。

 

 

2011年夏、「日本のアニメーション美術の創造者 山本二三展」が神戸市立博物館で開催され、来場者数約8万5千人という盛況を博しました。その後、全国で巡回され累計入場者数90万人を突破。

 

 

2022年現在も構成を変え、「新・山本二三展」として巡回中です。

 

 

画集等の著書多数。2018年7月には故郷の五島市に「山本二三美術館」がオープン。迫力のある独特の雲の描き方はファンの間で「二三雲」と呼ばれています。

 

 

故郷の五島列島を描くライフワーク「五島百景」が10年をかけて2021年、ついに100点完成しました。

 

 

今回の展覧会は、「冒険」「日常」「雲」「森」「郷里」の5つの章で構成されていて、初期作品から最新作まで約230点の作品を見ました。

 

 

展覧会で見た主な作品です。

 

『天空の城ラピュタ(1986)』は、朝来あさご市にある竹田城跡がモデルになっている事から学校で見た事があります。画像はラピュタのワンシーンで「荒廃したラピュタ」を描いています。

 

 

『火垂るの墓(1988)』も、戦争を後世に伝える教育の一環としてでしょう。学校で見ました。画像は「捨てられた思い出」。幼い妹を戦争で亡くした主人公が、最期まで肌身離さず持っていた飴の缶です。

 

 

2000年代は音楽教室で子供相手に仕事をしていて、アニメソングをチェックしていたので、『もののけ姫(1997)』など90年代後半~00年代前半の作品は知っています。画像は「シシ神の森(5)」。何か得体の知れないものが出てきそうな場面です。

 

 

遡って『名探偵ホームズ(1984)』。子供の頃、よく見ていたアニメです。画像は「飛行船での追跡」。あたかも自分が飛行船に乗った気分になり、「次は何が起こるのか?」ワクワクしていたのを覚えています。

 

 

『じゃりン子チエ(1981)』は、私より少し上の世代の方が懐かしそうに見ていましたね。画像は劇場版より「チエの店(3)」。大阪の下町を舞台にした話です。

 

 

逆に『時をかける少女(2006)』は、幼い子供を連れた親世代の方たちが懐かしそうに見ていました。画像は「分かれ道」。運命の分かれ道を予感させます。

 

 

フォトスポットは2ヶ所ありました。

 

『もののけ姫』より「シシ神の森(2)」。前に立つと、あたかもアニメの世界に入ったよう。

 

 

『時をかける少女』より「踏切」。ここにも「二三雲」が描かれています。

 

 

今回の展覧会は、「播但貫く銀の馬車道・鉱石の道」の日本遺産認定5周年記念事業。最後に、山本二三氏が描いた朝来市の風景画を見ました。

 

 

《朝の雲海に浮かぶ竹田城跡》

取材当時68歳。上まで登って行くのが大変だったが、たどり着いた時の絶景に感動。あまり写真にないような、絵だからこそできる表現をしたいと思い、朝焼けと雲海という取り合わせの中に竹田城跡を描いたと言っています。

 

 

《近代化の礎 生野銀山の捲揚機まきあげき

取材の時、『天空の城ラピュタ』の序盤、炭鉱の捲揚機をパズーが操作しているシーンを思い出したとか。生野銀山の捲揚機は錆び付いて眠っているが、近代化に伴い多くの人の生活を支えた存在。その歴史と佇まいの重厚さを感じながら絵にしたと言っています。

 

 

神子畑みこばた選鉱場跡》

円形の建造物が、古代イタリアの遺跡「コロッセウム」のよう。夕方の写真と朝方の写真を見比べ、朝日に輝く景色が素晴らしいと思ったとか。神子畑選鉱場跡は、時が流れても堂々とした佇まいが魅力的。それを絵に込めて描いたと言っています。

 

 

3つとも実物を知っているだけに、作品を見た時の感動はひとしおでした。どの風景も、山本二三の手にかかると、ファンタジーの世界になるのが不思議です。