美術館「えき」KYOTOで見た「香りの器―高砂コレクション―」。今日は「第1章 異国の香り」を振り返ります。以下の文章は、美術館「えき」のHPを参考にしました。
第1章 異国の香り
古代の土器・陶器・石製容器
香りの歴史は、紀元前3000年頃の古代メソポタミアやエジプトにまで遡ることが出来ます。古くから宗教的な儀式の中で、香油や乳香、没薬などが使われただけでなく、王や貴族などが生活の中でも用いていたと考えられています。
古代ギリシア・ローマ時代には香料や香油壺、軟膏壺が数多く作られ、特にローマン・ガラスは、技術革新によって容器のデザインが多様化しました。画像はギリシア・アッティカで出土した「赤絵式把手付香油瓶(前6世紀)」です。
古代オリエントのガラス製容器
オリエントやイスラム世界では、蒸留技術の開発のおかげで多くの香水が作られ、ガラス容器に保存して利用されました。
一方、西ヨーロッパでは「ポマンダー」という容器に入れられた練り香が中心でした。
こちらは東地中海沿岸域から出土した、1~3世紀制作のフラスコ形香油瓶。
同じく東地中海沿岸域から出土した、長頸香油瓶。どちらも地中海の海を連想させる美しい作品です。
携帯用の香水瓶
17世紀に入ると、アルコールによる精油の抽出が行われるようになり、香水文化は一気に開花。
18世紀には、王侯貴族が主導的役割を果たしつつも、庶民の間でも香水を楽しむ習慣が普及し、マイセンやウェッジウッドなどの陶磁器による優美な香水瓶が人気を博しました。
写真だと分かりづらいのですが、ここで見た香水瓶は携帯用なので、高さ10cm前後とかなり小さかったです。
フランス製「赤色ガラス香水瓶(18世紀)」
マイセン「《色絵雅宴文香水瓶ケース》など3点(18世紀)」
マイセン「色絵香水瓶より《恋人たち》(19世紀)」
ヴェッジウッド「天使文香水瓶(18世紀後半)」
ロイヤルコペンハーゲン「花文香水瓶(20世紀初頭)」
作家たちによる香水瓶
19世紀以降は、市民社会の成熟とともに香水文化は洗練の度合いを高め、香水瓶もボヘミアン・ガラスやアール・ヌーヴォー、アール・デコの作家たちによるガラス工芸の粋を集めた作品によって、華やかな世界を演出するようになります。
まずは、ボヘミアン・ガラスの香水瓶から。
ボヘミア製「被せガラス水玉文香水瓶(19世紀)」
ボヘミア製「被せガラス金彩草花文香水瓶(19世紀)」
次はアール・ヌーヴォーの作家たちによる作品。
エミール・ガレ制作「草花文香水瓶(1900年頃)」
ドーム兄弟制作「百合文香水瓶(1900年頃)」
その次はアール・デコの作家による作品。
カール・パルダ制作「幾何学文香水瓶セット(1930年頃)」
メーカーの香水瓶
20世紀には香水メーカーが、売り出す香水にふさわしいデザインをラリックなどの作家に依頼するようになり、香水瓶の量産時代を迎えました。
ルネ・ラリック制作「香水瓶《ユーカリ》(1919)」
ルネ・ラリック制作「香水瓶《光に向かって(ヴォルト社)》(1926)」
ポール・ポワレ&ジュリアン・ヴィアール制作「香水瓶《道化(ロジーヌ社)》(1923)」
その他の商品
最後に、化粧道具やカタログ・ポスターの展示がありました。
フランス製「装飾枠付三組香水瓶(19世紀中頃)」
フランス製「卵形ケース香水瓶セット(19世紀)」
「ジュレ・フレール社」ポスター(1910年代)
展示室で見た瓶は、富裕層が持ってそうな高級品。我々庶民はこのレベルかな。そもそも香水自体つけませんね。そういえば15年ほど前、フランス土産に頂いた香水。いつの間にか蒸発して空になっていました。
つづく